第5話
ありがたいと思う反面、老いた両親の姿を見ていると肩身が狭くてたまらなかった。両親に遠慮し、将来への不安に苛まれながら桃香を育てていると、早く自立しなければ永遠に幸せになれないのではないかと焦るようになっていった。とりあえず仕事を探して母娘二人の生活の基盤を作り、貯金もしなければならないと強く思った。
だが桃香を家に置いて仕事などできそうになかった。夫からの酷い仕打ちから離れられただけで、育児の大変さが軽減したわけではない。
初めての子育ては想像以上に過酷で理想と現実のギャップに泣きたくなるようなことがたくさんあった。世の中には保育園に子どもを預けてフルタイムで仕事をし、家に帰って家事と子育てをしているような女性がたくさんいるなんて本当に信じられなかった。一日中桃香と過ごし、家事をしているだけでもくたくたになってしまうのに仕事もプラスされるなんてまるで異次元な話だ。だが桃香が成長すれば私はそういう厳しい毎日を生き抜かねばならないのだ。
お金を稼ぎたいが桃香から離れられないというもどかしい気持ちの中、育児と家事に追われながら私の息苦しい日々は続いた。
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