アリスとラビー

アリスとラビー(1)

 今日からアリスは、ラビーの部屋に住むことになり。ラビーの部屋には、アリス用の家具一式を揃えられ。机とベッドは、ラビーの机とベッドの隣に並べ。あとはアリスの服や生活に必要な物を買うだけ。しかし、異世界の人間が公共場に顔を出すとなると、またあんな騒ぎになる。

 そこでラビーは、そのことも含め、アリスが現れた場所に必ず帰るヒントがあるはずと思い。そのヒントを探すには、アリスがその場所に行かなければならない。なんとか外に出る方法はないか、ラビーは王に相談した。

 すると、王の特権で、『アリスは異世界の人間だが、危害を加えることは絶対にない。この王が保証する。私の命を救ってくれた恩人。我が娘と同様の扱いとし、同じアメリカ人と認定する』、このことがネットやテレビで報道され。このことに、反対の意見がなかったわけではないが、あの王が言うならそれに従うと多くの声が集まり、国民は王を信じた。

 このアメリカでは絶大な支持を得ている、自由の国の王。世界でも一目置かれている。これでアリスは自由に外に出られる、騒ぎ立てる者はいない。

 

 午前12時、昼食の時間。アリスたちは、この城にある食事の間に向かうのだが、この城では基本瞬間移動は禁止なので歩いて行くことに。

 アリスはラビーの後ろを歩き、辺りは歴史を感じる佇まい。そんな中、5分くらい歩き、食事の間に着くと。そこには、これまた歴史を感じさせる雰囲気の部屋。そこには長いテーブルがあり、王と王妃が席に着き待っていた。王は、なるべく食事は3人で摂るように心がけている。

 アリスたちも席に着き。アリスはテーブルの上に並ぶ料理を見て、私の世界と変わらないお肉料理が並び。むしろ私たちと同じ人間、外見がちょっと違うだけ。


「王様に申し上げます。大変失礼ですが、このメニューでは野菜不足かと思いすが?」

「……実は、そのことなんだが、何か野菜を美味しく食べる方法はないかね!? どうも野菜が苦手で」

「そういうことなら私にお任せください、夕食は私が用意いたします。美味しい野菜料理を作りますので楽しみにしていてください」

「そうか、それは助かる。申し訳ない面倒をかける。夕食が楽しみだな」


 昼食が終わり。アリスとラビーは、一旦部屋に戻り、買い出しに行く準備が終わると。この城専用の車に乗り込み、2人は城を出ると、この世界に初めて来た場所に向かった。 車には女性SPが2人乗り。2人は、後部座席に乗っている。


 車を走らせ20分、目的地に着き。そこは3階建てのアパレルショップ店の店先。ここにアリスは座り込んでいた。ここが異世界の出入口なのか。

 アリスは、その場所に立つが、何も起きない、何も感じない。あの時、少し体が浮いた感じがした。スマホでこの周辺の写真を撮り、この店で服を買い。2人が次に向かった場所は、大型家電量販店。

 アリスは、この世界で使えるスマホを買い。炊飯器1台、ノートパソコン1台、他にもいろいろ買い。この世界の家電を見ながら、やはり私たちの世界に似ていると感じ。行き先々でこの2人は注目の的だった。ラビー王女に方や異世界人。


 この後、食材を買い。無水調理鍋3台、包丁、卵焼き器、食器、お箸、まな板、他にもいろいろ買い。お城に帰り着いたのは午後3時過ぎていた。

 あんなに大量の買い物をなんの迷いもなく買い。アリスたちは2時間ちょっとで帰ってきた。ラビー王女はその行動に、私が一緒に行かなくてもよかったのではと思い。ただ、車内では、まるで何十年ぶりに再会した姉妹のように話が弾み。ラビー王女はアリスに質問攻めにあっていた。


 ラビー王女は、高校を卒業したばかり。お父さんは早く結婚しろ、見合いをしろ、急にそんなことばかりで、まだ結婚はしたくない。いずれは私も王妃として、この国に背負って行かないといけない。

 お父さんには、28歳までは自由にさしてと言ってある、許可は下りていた。まさか病気で焦っていたとは。王はこの時、42歳。王妃、41歳。


 ラビー王女は首席で高校卒業し、運動神経はかなりいい。幼い時から正義感強く、度胸もあり、可愛らしい女の子。王は、決断力にかけるところがあると言っている。


 アリスとラビー王女は、部屋に戻り。アリスは机の上にさっき買ってきたノートパソコンのセットアップを始め。ラビー王女は、その様子を隣の椅子に座り見ている。

 ノートパソコンのセットアップが終わると。アリスは、この異世界から元いた世界に帰るにはどうすればいいのか、とりあえず頭にあることをバソコンに入力し、まとめてみることに。


 一方、王はというと。アリスがあの場所に行き、異世界の扉が開き、帰れることができたなら、それはそれでいい。ただ、夕食は食べてみたかった。もしまたこちらの世界に来ることができるのなら、その時は大歓迎、そちらの世界と交流も考えたい。そう思っていた。結果、異世界の扉は開かなかった。

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