4-126 トラブルメーカー








風の強い砂漠の中、その身を敵に見つからないように隠しながら進んでいったこと。

途中で争いが始まり、それに紛れメイヤと別れメリルを救出する作戦に出たこと。


ハルナたちは、シーモの知り合いのロイがコルムに殺されてしまったことから、コルムを追いかけてソフィーネが捕まったてしまったことまで話す。

そこからメイヤはメリルを救出し、コルムたちが粉の製造方法を探っていたことを話した。

そしてその途中で逃げようとしていたべラルドを捕まえ、ハルナとメリルと合流しソフィーネを助けに向かったことを話す。


最後にソフィーネが、組織のダークエルフに捕まっていたことを話し、メイヤと対峙したところまで説明をした。




「……ハルナ」



「なに?エレーナ?」



「あんたって……ほんと、何か持ってるわよね……今回はいいものじゃなかったけど」






その言葉に対して、アルベルトはエレーナの背中を叩く。

エレーナは最初驚いていたが、それはみんな思っていたことだハルナが気にしているのではないかと口に出していなかっただけだと気付き、自分の口を手で塞いだ。



ハルナも薄々、そのことに気付いていたようだった。

トラブルを呼び込む体質でせいで、みんなに迷惑をかけているのではないかという思いが頭の片隅にあったが、いまエレーナの言葉によって表面化されてはっきりと認識されるようになった。



その表情を見て、マズいと感じたステイビルがハルナに対してフォローをした。



「こ……この中の誰もが、ハルナと同じ状況になっても可笑しくはなかったのだ。そ、それはこの作戦を立てる前にも説明したように、拠点の危険度、敵戦力、重要度、情報量などを考慮し我らの人員を割り振ったのだ。ハルナたちには、一番危険な場所に行ってもらったが、そんため最大戦力でを割り振った。それはハルナの身を考えてのこともあるし、存在確認の取れたメリルを救助する目的もあった」




ステイビルをフォローするように、次にメイヤが言葉を引き継ぐ。



「それに……ハルナ様がいらっしゃらなければ、大切な部下を一人失うことにもなってたかもしれません……ハルナ様がいてくださったからですわ!」



その言葉にソフィーネの眉毛が、ピクリと動いて反応を見せた。

メイヤとの間に突き刺さるような空気が流れたが、ハルナは自分のことよりも二人の関係性を心配することによって自分が抱いていたトラブルメーカーと認識された不安感はどこかに消えてしまっていた。



そんなハルナの心情を組んでいたのか、怪しい空気の中に次のトピックが投げかけられた。





「それで……ステイビル王子。これからどのようになさるのですか?」





と、そう告げたのはメリルだった。

メリルとしては、自分自身やこの町に絡みついた根を刈り取ってもらっただけでも大きな結果であると言える。

だが、この町が正常な状態へと変わっていくためには、もう少し大きな力に助けてもらわなければ、また何か良からぬことを考えている者たちにその隙を突かれてしまう恐れがあることを危惧していた。


その問いに対し、ステイビルはいま現在で自分の中だけで考えている案を口にした。




ソイランドの出発は、次へ向かう情報を集めてからにすると考えていた。

どこまで探せるかはわからないが、キャスメルたちも情報を探るためにこの町に寄ったことも考えられる。

この町の骨組みをある程度くみ上げるまでこの町に滞在し、その手助けをするつもりではいた。

それがこの町の仕組みを一度崩してしまった者の責任でもあり、この状態を投げ出して自分のことだけを優先させるものでは町だけでなく、それよりも大きな国を到底治めることなどできない人物だと評価されるだろう。



ステイビルの中にはそういう打算的な考え方ではなく、純粋にこの町を取り戻しことにより、以前よりもよい町にする責任がある。

その想いで、皆を待つ間心配と同時にこれからのことも考えを巡らせていた。

当然、この作戦が失敗をすることなどはまるで考えていなかった。



エレーナとハルナもステイビルの考えに異論はないと、町の仕組みの形がある程度出来上がるまでソイランドに滞在することとその協力をすることに同意をした。











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