1-21 カルローナ・スプレイズ
「グ……グスターヴ様!」
グリセリムは長椅子から立ち上がり、急いでエントランスまで降りていく。
エントランスの馬車は、駐車場の広場に移動していった。
そこにメイド二名と、シンプルな紫色のローブを羽織ったご老人が入口に立っていた。
背中はやや曲がっていたが、杖を用いることにより自身の足で立つことはできる。
段差は人の手を借りなければ不安定であるが、平坦な床での歩行は問題がなかった。
しかし、扉は空いているがなかなか入ってこない。入ることを戸惑っているようにも見える。
グリセリムはご老人を気遣いゆっくりと近寄り、視力の落ちたご老人の近くに顔を寄せて話しかけた。
メイドは顔を近づける相手のことを知っていたので、その行為を制することなく見守った。
「グスターヴ様、グリセリムです。ご無沙汰しております」
名前を呼ばれた老人は顔をあげ、やや白く濁った眼で名を呼んだ人物をみる。
「……ぉお、グリセリムか。久しぶりじゃな。近くに住んでおるのに、なかなか会う機会がないのぉ」
「グスターヴ様もお元気のようで何よりです……それに、ご足労頂きありがとうございました」
「いや、こちらこそ知らせをもらって助かった。あれでも、我が娘だからな……」
グスターヴを呼んだのは、グリセリムだった。
ティアドから連絡を受けた際に、親且つギルドの長であるグスターヴに一報入れていた。
グスターヴはギルドに所属しているメンバーだけでなく、その家族に対しても便宜を図っていた。
家族の大切さを知る人、だからこそ。
「しかし、我が子は……」とギルド内では誰もが思うことであったが、口にするものはいなかった。
遅れてやってきたティアドも、グスターヴに挨拶をする。
「このような場所までご足労頂き、有難うございます」
「これはこれは、ティアド様。この度は我が娘の愚行によりご迷惑をおかけしておりまする……」
「いえ、まだ取り調べを行っておりませんので事情がはっきりとしておりません。……ともかく、正式な結果と報告が出るまでお待ちください」
ティアドはご老人にそう告げて、隣のメイドに合図をし詰め所の奥にある待機室までお連れするように促した。
メイドはグスターヴの背中に手を添え、誘導を開始する。
数回杖の音がエントランスに響き、遠ざかろうとしたその時。
「娘と会うことは……可能ですかのぉ?」
ティアドは警備隊を呼び、確認する。
本来では容疑者と家族を面会させることは難しいが、何かあった場合、ティアドは責任を取るとのことで面会が可能となった。
条件としては警備隊の立ち合いの元、家族のみということで、家族はグスターヴとグリセリムとなった。
しばらくして、面会の準備ができたと待機室に連絡があった。
グスターヴはグリセリムに付き添われて、面会室へ向かった。
面会室の中にはテーブルがあり、仕切り版のようなものはない。
こちらからの入り口にはテーブルが二脚用意されている。二人はそれぞれに着席し、テーブルの向こう側の扉が開くのを待つ。
――カチャ
目の前の扉が開き、前後を警備隊に挟まれた状態でローブのフードで顔を隠されたまま入室する。
腕は胴体に固定されるようにロープで縛られ、手首も同様に縛られて前の警備隊が握っていた。
警備隊に支えられ、ゆっくりと椅子に着く。
フードをめくられて、その顔を確認させられる。
「この者……カルローナ・スプレイズで間違いないか?」
「はい、間違いありません」
警備隊からの質問に応じたのは、グリセリムだった。
カルローナは顔を伏せたままだったが、グスターヴは衰えた視力でその顔を眺めている。
「……カルローナ」
老人は、震えてしゃがれた声でつぶやいてしまう。
その声に反応するように、伏せた顔が徐々に目の前を向く。
「お……おとう……さま……」
「カルローナ……おぉ……カルローナ……」
娘の口から父と呼ばれるのは、何年ぶりだろうか。
その喜びをかみしめるように、涙声で何度も繰り返し娘の名を呼ぶ。
「……助けてお父様。……帰りたい、昔のようにみんなで仲良く暮らしたい……あぁ、アイリス……ごめんなさい……アイリス」
ようやく落ち着いてきたのか、カルローナはまともな言葉を話し始めた。
「……カルローナよ、我が最愛の娘よ。まずは、この取り調べに対し、しっかりと協力しなさい。そして、嘘偽りなく全てを語りなさい。自分の起こした言動は取り消せぬが、その後の行動が己の価値を決めるものだよ」
その言葉を聞き、カルローナは頷いた。
「そして、お前が無事に帰ってくることを信じて、いつまでも待っておるよ……私のカルローナ」
そこで、時間が面会の時間が終了となり、奥のドアから合図するノック音が聞こえる。
立ち上がり、二人の警備隊に連れられカルローナが退出する。
その背中に、グリセリムが初めて言葉を掛ける。
「……カルローナ。アイリスは無事だ。また一緒に暮らそう……三人で」
小さく頷いたようにも見え、再び被せられたフードの陰から一粒涙が零れ落ちるのが見えた。
数日後、王国へ報告を行いその返答があり、カルローナの取り調べが始まった。
王国への報告に対する返答の内容は、次の通りだった。
”本事案はまず、モイスティア内で調査を終え一度王国へ報告が必要である。その後、その結果を元にさらに王国で取り調べを行うか刑を決めるかの判
断が行われる”
とのことだった。
その報を聞いて取り合えず、すぐに極刑にならないことに一同は安心した。
取り調べを担当する、警備隊員が椅子に腰を掛ける。
そして、テーブルの上に火のついたろうそくを手前において準備を整え話しかけた。
「では、話してもらおうか。いったい何があったのかを……」
――――――――――――――――――――――――
あの日、アイリスから始まりの森で契約できなかった連絡を受け、カルローナはモイスティアからラヴィーネに公共馬車を借り切って向かっていた。
その道中、休憩所においてカルローナに接近してきた人物がいた。
黒いローブを纏った、不審な二人組だった。
「……あんた、カルローナさん……だろ?」
カルローナはその声かけに動じることなく、無視をする。
「おいおい、話くらい聞いてくれよ……ったく。」
「そんな話し方だからダメなのよ、アンタは。 ……カルローナさん、あたし達は今の精霊使いの制度に疑問を持って何とかできないかと考えてるんだけど……
「……あなたたちの戯言を聞いている暇なんてないの。消え失せなさい」
そういうと、カルローナは馬車に乗り込もうとした。
「……あんたの娘、精霊との契約に失敗したんだろ? 俺たちなら、精霊使いにしてやれることができるんだけどねぇ」
カルローナの乗り込みかけた動きが止まる。
(お!喰らいついた)
男が心の中で笑い、それを逃さずにもう一人が声を掛けた。
「あたし達、もう数日ここにいるからさ。もし必要になったら帰り路にでも声を掛けてよ」
その言葉を聞いてから、カルローナは馬車のドアを閉めて御者に出発させた。
何か引っかかると思いつつも、先ほどの者たちの言葉が耳に残った。
馬車はラヴィーネに到着し、アイリスと合流する。
アイリスから、精霊使いになるための条件を聞く。
それによると、あと2回受けることもできるが、次にまた選ばれるとは限らない。
カルローナはアイリスを一旦宿に帰して、一人でフリーマス家ともう一度契約の機会を与えてもらう交渉をすることを決意する。
(確か、あの家はスプレイズ家に頭が上がらなかったはず……)
その理由はハッキリとはわかっていないが、つけ込める隙があるなら利用しない手はない。
そうして、馬車をフリーマス家に向かわせた。
結果は、……失敗。
流石のカルローナも王国の名を出されたら、従わない訳にはいかない。
引っ込みがつかず、威圧的な態度をとってしまったがそこは問題ないと考えた。
しかし、アイリスをこのまま置いておく訳にはいかない。
もしかして自分の行いにより、居場所をなくしてしまっただけでは……
その思いを振りほどいて、カルローナはアイリスを連れて帰ることを決意する。
自分の夢でもあった、精霊使い。今は娘にその思いを託している。
今回のことで、その機会を逃してしまった感が大きい。
またしても、失敗。
様々な思いが頭の中を巡り、一つの言葉が記憶の中から浮かび上がる。
――行きの途中で出会った二人組
その馬車の移動の途中で、カルローナはアイリスに問う。
「あなたは、まだ精霊使いになりたいの?」
「……お母様が望むのであれば」
「そう……」
カルローナの中で、何かが外れる音がした。
途中の休憩所に立ち寄る。カルローナは馬車から降りると、それを見た二人組が近づいてくる。
「……ごきげんよう、カルローナ様」
「挨拶はいいわ。ところでこの前の話しは本当なの?精霊使いにできるって」
小さい方のローブを着たフードの中に隠れた表情が緩む。
「わかりました。それでは、さっそく移動しましょう。場所は始まりの場所で」
「あそこは、国が管理している場所。その場所に何か起きた場合、厄介なことになるのよ。他の場所でできないの?」
「そうですか、できればその場所がよいのですが。……それではその近くで儀式を行いましょう」
「私たちは単独で、移動します。始まりの場所の入り口で落ち合うことでよいかしら?」
二人組の男の方はやや不機嫌な顔をしたが、もう一人がそれに対して答える。
「えぇ。では、始まりの場所の付近で合流しましょう」
そういうとカルローナは馬車に乗り込み、御者にラヴィーネ方面へ戻るように伝える。
馬車はラヴィーネの入り口から離れた場所に停車する。
本来の道では警備隊に見つかる恐れがあるため、森の横道から入っていくことにした。
そして、アイリスに確認しながら始まりの場所まで徒歩で向かった。
「そろそろ……種を用意しとかないとね」
ヴェスティーユはそう告げると、やや広い草木の広場で立ち止まった。
「出でよ……悪魔の従者よ」
黒いエネルギーの塊が、渦を巻いて球状を形成する。そこからさらに変形し、小さいな悪魔が姿を現す。
その姿が降り立った場所の草木は枯れ、濃度の強い中心部は既に砂漠化していた。
それは近隣の生命力を吸い尽くすかのように徐々に拡大していく。
ヴェスティーユはインプを掌に載せ、それをもう一方の手で重ね合わせつぶしていく。
開くと、掌の中には始まりの場所で見られた光の玉のような大きさの黒い物体が出来上がる。
「こんなの入れられたら、普通の奴だと一瞬にして気がおかしくなってしまいそうだな……」
その様子を隣で見ていた、ディゼールが脂汗を流しながら口にした。
この小さな容積に、それ程の悍(おぞ)ましい瘴気が漂っている
「……ふふふ。精霊もインプも不安定で変わりないものよ。所詮、エネルギーの塊なのよ」
そういうと、ヴェスティーユは懐の瓶に出来上がったエネルギー体を入れて蓋をする。
瓶を懐にしまい込み、二人組は待ち合わせをしているカルローナを探しに歩き始めた。
始まりの場所の周囲を歩いていると、人影を見つけて近づく。
待ち合わせをしていた、カルローナとアイリスだった。
ヴェスティーユは、周囲を警戒するも他の人物の存在は見当たらない。
「お待たせしました。そちらが、今回契約される方ですか?」
「そうよ、私の娘……アイリスよ」
(怖い怖い……自分の娘かよ……。まぁ別にどうでもいいんだけどな……)
「それで、どうすれば?」
「今回は特別な方法で精霊と契約しますので、少し辛いかもしれません。でも、ご安心を。徐々に慣れてきますので、そうすれば身体になじんできますから」
懐から、先ほどの瓶を取り出して見せる。
それを見たアイリスは、震え出した。
「……お母さま……あれは?……怖い」
後ずさりするアイリスの後ろに立ち、カルローナは止める。
――!?
アイリスは、驚いた。
母親が何をしているのかわからなかった。
「お……お母さま!?」
カルローナは後ろから羽交い絞めにする。
ヴェスティーユは、フードの下から笑みをこぼし瓶の蓋を開けた。
黒い光は不規則な動きで浮遊し、狙いを定める。
そして、アイリスの胸元をめがけて突進した。
「え?……助けて……誰か……!?」
――スッ
―――!!!!!!
身体の中に入った途端、衝撃波が生じた。
後ろにいたカルローナは吹き飛ばされ、気を失ってしまった。
―――ぅぎゃぁああぁあぁああ!!!!
苦しみもがくアイリスは、喉や体中から何かを追い出そうと掻き毟りのたうち回る。
「……だすげで……おがぁざ…ま……」
痛みに耐え、這いつくばりながら、気絶しているカルローナ方へ向かう。
母親ならこの痛みから、助けてくれると信じて。
しかし、カルローナは反応することがなかった。
「ぅぅ……お……がぁ……さ……」
助けを求めて伸ばした手も母親には届かずに、アイリスの意識はそこで途切れてしまう。
「おい……大丈夫なのか?」
「人を殺しても平気なくせに、何言ってんのよ!……大丈夫よ、気を失ってるだけだって。闇のオーラが身体を徐々に制圧しているのよ。こういう時は無駄に抵抗するほど痛みが増すのよ」
「そ……そういうもんなの?」
「とにかく、この子はそのままにしておいて、この森の元素を吸い尽くしてくれるといいわね。さて、このオバさんをさっさと運ぶわよ。聞きたいことがいろいろとあるんだからね」
カルローナは意識を失っている間、夢を見ていた。
姿は見えないが、アイリスがまだ赤子でずっと泣いている。
母親へ助けを求める泣き声。
(……アイリス、どうしたの?……お腹空いたの?……それとも眠いの?)
カルローナは泣き声の姿を探す。
しかし、泣きやむことはがなくいつまでも続いていた。
起きているのか、眠っているのか。
はっきりとしない時間が続く。
時々、何か聞かれている。
自分でない誰かがそれに答えているが、その声はまさしく自分の声。
それは本当に自分なのか?
……わからない。
知らない人たちが、自分の前に跪いている。
自分でない自分が、誰かに命令している。
でも、何も考えなくていいんだ。
このまま、目を閉じててもいいんだ……
……ぁぁ、ねむい
……このまま……もう……起こさないで
急に視界が開ける。
目の中に光が差し込む。
どのくらい眠っていたのか……
――!?
(……身体が……動かない)
カルローナの身体は衰弱しきって、腕を上げることも困難なほど衰弱していた。
光に目が慣れてくると、目の前にあの二人組の姿がぼんやりと映る。
「ようやく起きたのね」
「こ……ここ……は……」
声を出すだけでも、酷く疲れる。力を振り絞り、二人組に問う。
「ここは、アンタが用意してくれた隠れ家だ。ここでいろいろと活動させてもらったが、ちょっと事情が変わってね」
――?
ディーゼルの言葉の意味が、よく分からない。
(私が用意したとは、一体?)
息を整え力を貯めて話しかけようとするカルローナを、ヴェスティーユは手を挙げて制した。
「……あなたは、何を言っているか分からないでしょうね。頭の中を少しいじって、操らせてもらったわ。周りから見れば、全てあなたが指示したかのようにするために……ね」
「……それじゃ今までありがとな。まだ食料とか残しておくから、食べれるようなら食べな。そして、動けるようになったら状況を確認してみるといい」
「その事実を受け止めることができれば……ね。それじゃ、あたし達はここで」
カルローナに背を向けたまま後ろで手を振り、部屋から出ていく二人組。
いま、自分の身に何が起きているのか。
緩み切った頭を必死に活動させ、状況を整理する。
まず、やらなければならないことは……
幼い頃の父の言葉が甦る。
『――困ったときは、食事でお腹を満たしなさい。そうすれば幸せな気持ちになって、いい考えも浮かんでくるさ!』
なぜ、こういう時に嫌っていた父親の言葉が浮かんできたのか。
そういえば、困ったときはいつも父親が、声を掛けてくれていた。
うっとおしかった。
近寄ってほしくなかった。
声を聞くのも嫌だった。
よく考えてみると、商売が軌道に乗り始め忙しい時期だった。
家には人の出入りが激しく、相談に訪れるひとりひとりに真剣に対応していた。
それでも、自分の身に何かあるといつもそばにいてくれた。
そして、優しい言葉をかけてくれて、生きるヒントも教えてくれた。
(私は、お父様の何が嫌いだったんだろう……)
もう、それすらも思い出せない。
ここ数年ずっと、顔も見ていない。
どうして、いま助けに来てくれないのか。
(私が遠ざけていたのね……)
カルローナは涙をぬぐい、大きく息を吸い込みとめる。
今出せるありったけの力で、椅子から降りた。
――ドタっ
身体を支えきれず倒れこむ。
それでも、全身を使って体を引きずって食べ物がある場所を目指す。
ようやく手にしたのは、数日経ってカチカチになったパン。
湿気の多い場所のようだが、カビが生えていないのは幸いだった。
飲み物もなく、そのパンを口にくわえる。
噛み切ることも、一苦労だった。
何とか咀嚼し、それを飲み込む……
――!!
胃から受け付けられず、嘔吐する。
その際に喉の中が切れてしまったのか、赤い血が混じっている。
カルローナは、小さく噛みちぎり少しずつ飲み込むようにした。
身体は戻そうと反応するが、必死にそれを抑えこむ。
時間をかけて、何度か繰り返す。
そして、目を閉じて眠りで回復する。
目が覚めることにホッとし、また食事をとる。
数日間繰り返し、ようやく身体が動かせるようになった。
筋力は衰えているが、動くことはできる。
ここを出て、誰かに助けを求めよう。
そう考えた時、どこからか爆発音が鳴り響いた。
近代では大きな争いはなかった。
しかし、この爆発音は大きな建物を破壊するには十分な爆発量で生じた音だった。
二階程の高さを上り、小さな小屋のような部屋にでる。
外に出ると、ここはかつてギルドの保管庫として、山を削って作られたものだった。
現在では、耐久性の問題で放置させられていたものだった。
そこから遠くをみると水の町でも目立って見える、ティアドの屋敷から煙が出ていた。
よろけながら、なんとか町の中まで歩いていく。
そこから見上げた、屋敷は2階の一部が完全になくなっていた。
町の住人はざわめく、その中で信じたくない言葉が聞こえた。
「どうやら、スプレイズ家の争いでカルローナの命令で襲撃を行ったらしい……」
と。
(違う…!……私じゃない!!)
叫ぼうとするが、ここで声を出すと見つかってしまう可能性がある。
――カルローナは逃げ出した
建物の陰に隠れ、うす汚い通りの中を選んで。
ようやくたどり着いたところは、先ほどの保管庫の中。
何が起きているのかもうわからなくなった。
そして、なぜ逃げなければいけないのかわからなくなった。
確かに、本家のティアドに対して嫉妬をしていた。
だが、何かをするという愚かな行為までは考えていなかった。
(このままでは、見つかってしまう……とにかく、この町から逃げ出さなければ)
保管庫の中を歩き回ると、隠してあった扉が見つかる。
その扉を開け、奥に進んでいくとそこは、祠になっていて森の中につながっていた。
(どうしよう……これから)
食料はもうすぐ底をついてしまう。
それよりも、アイリスはどうなったのか。
私のせいで、グリセリムや父が疑われてはいないか。
その状態で幾日が、過ぎていく
幸いなことに、まだこの場所は見つかっていない。
(もう疲れたわ……)
地面に横たわり、目を閉じる。
深い眠りに着こうとした
――その時
「おい!誰かいるのか!!」
カルローナはその問いに返す力もなかった。
瞼も重く、開かない。
誰かが近づいてくる、気配は感じる。
「――人だ。人がいるぞ!!」
そこでカルローナの意識は途切れた。
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