13 俺が少女になる時に
町の交差点のど真ん中で戦いは繰り広げられていた。
改めて近くで見ると、アポカリプスがとんでもない大きさだと言う事を再認識する。
「どこだ、藤宮!」
俺がそう叫んだ瞬間、その声が届いたのか、もしくは偶然だったのか……アポカリプスがこちらに視線を向け、巨大な手を振るった。
振られた手から発せられる衝撃波。
俺はそれを、ボロボロな体に鞭を打って後方に飛び、地面を転がりながらもなんとか交わす。
無理矢理体を動かした痛み、そして刀の力である程度強化はされているものの、それでも痛い、転がった際に受けるダメ―ジに歯を食いしばりながら、再びアポカリプスへと視線を向けた。
「な……ッ!」
すぐさま放たれた第二波。
地面に転がってすぐのこの体制じゃ、とてもじゃないが交わせない。
俺は反射的に目を瞑る。
だが次の瞬間訪れたのは、衝撃波が体を抉る事による激痛なんかじゃなく、誰かに抱きかかえられる様な感覚。
そして状況を飲み込む前にその手は離れ、俺は再び地面に転がる。
「……ってて……何が起きて……藤宮?」
目を開くと、俺の隣で、大鎌を手にした藤宮が転がっていた。
「……ごめん、バランス崩して落としちゃった。大丈夫? 宮代君」
と、頭を抱えながらぼやく藤宮。
今の……藤宮が助けてくれたのか。
「ああ、大丈夫だ」
俺はゆっくりと起き上りながら、藤宮にそう返す。
「松本君から話しは聞いてるわ。来てくれて……本当にありがとう」
「……どういたしまして」
俺は若干照れながらそう答える。
「でも本当によかったの?」
「何が?」
「宮代君はもうギルドに入っていないのに……大人しく避難所に居れば、出てこなきゃこんな怖い目に合わなくても済んだのに……本当によかったの?」
「良いに決まってんだろ。松本さんにも言ったけど、俺はお前らが居なくなる方が怖いんだよ。それに……俺はギルドナンバー1948だ。たとえ今俺がギルドのメンバーじゃなくても、ナンバーが残っているんなら戻ってこれるだろ」
「それじゃあ……」
「ああ。俺、宮代椎名はギルドに復帰する。だから……俺に力を貸してくれ」
俺は藤宮に手を差し出す。
俺が何を求めているか……藤宮にも分かっているはずだ。
藤宮はポーチから魔法少女の魔装具を取り出す。
ちゃんと持ってきてくれていた。
心のどこかで俺が戻ってくるって信じてくれていたのだろうか。
だったら……その気持ちに答えろ。
「じゃ……久しぶりにやるか!」
俺は藤宮から魔装具を受け取り、そして起動する。
全身が光に包まれ、俺は魔法少女へと姿を変えていく。
変身が終わった頃、全身を纏っていた激痛は幾分か軽減され、体の自由が戻って来ている。それどころか、魔法少女状態による身体能力の浮上で体はとても軽かった。
懐かしい感覚だ……たった一カ月なのに、本当に懐かしく感じる。
戻ってきたんだな……俺。
「魔装具が出来上がるまで、なんとか持ちこたえて!」
「ああ……任せろ!」
俺は地面を全力で蹴った。
推進力を得た俺の体は、そのまま一直線にアポカリプスに向けて飛んでいく。
「こっちだ、アポカリプスゥゥゥゥゥゥウッ!」
最高速で暴走精霊の顔面に拳を叩きこむ。
俺の攻撃を受けて、アポカリプスは激しく揺れる。
が、それだけだった。
「な……ッ!」
俺を見下すように視線を向けると、上空から巨大な右手が振り下ろされた。
それを俺は右方に飛び込むように飛んで交わすが、交わした俺目がけて左手が俺を標的に定めていた。
「チッ!」
俺は身を構えた。
この体制じゃ交わせねえ――、
「宮代!」
刹那、折村さんの声と共に俺は突風で上空に運ばれた。
俺の真下で、アポカリプスの左手が空を切る。
「お、折村さん!」
「よく戻ってきた宮代! 待ってたぜ!」
折村さんはそれだけ言って、高度を俺の高さまで上げ、再び強風を引き起こす。
……追い風!
「行け、宮代!」
「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
風による加速を得ると同時に空を蹴り、隕石の様に落下してアポカリプスの頭部に蹴りを放つ。
するとアポカリプスは俺の蹴りの衝撃で少々後ずさった。
「どうだ! 脚の力は腕よりも強いんだぜ!」
それに突風による加速。威力は更に増す。
でも……そんな攻撃受けても、まだピンピンしてやがる。
体勢を立て直したアポカリプスが両手を振り上げると、周囲に無数のクナイのような物が出現する。
「飛び道具……ッ!」
あんな事も出来るのかよアポカリプス!
アポカリプスが手を振りかざすと、無数のクナイが俺目掛けて降り注いでくる。
俺は慌てて左方に飛んだが、アポカリプスの攻撃はそんな行動で何とか出来るほど、甘い物ではなかった。
「つ、追尾!?」
全てのクナイが空中で俺目掛けて迂回する。
どうすんだよ。スピードはあっちの方が早いし、クナイは刃物だから受けとめようがない。
必死に思考回路を巡らせていた時だった。
「全員、宮代を援護しろ!」
折村さんがそう叫んだと、ほぼ同時に四方八方から、俺を狙うクナイを打ち落とす様に、風の塊。結界。銃弾。斬撃など様々な攻撃が飛んでくる。
様々なギルドの面々が放った様々な攻撃は、次々とクナイを打ち落として行く。
……ありがてえ。
俺は再び接近して回し蹴りを放ち、怯んだ所に拳の応酬を浴びせる。
「倒れろおおおおおおおおおおおおおッ!」
何度も何度も殴りつける……が、やっぱり多少怯むだけで、決定的なダメージが与えられない。
最後に一発蹴りを入れて一旦後退する。
「クソ……タフすぎんだろ……いくらなんでも」
流石に息が切れてきた。
そんな俺を打ち落とすべく、再びアポカリプスの右手が迫る。
大丈夫なんとか交わせ――、
「は……?」
俺の手前で、アポカリプスの巨大な右手が更に巨大化した。
こんなの……交わせるわけが無い。
「宮代さん!」
その瞬間、拳に合わせるかの様に結界が勢いよく飛んできて、アポカリプスの拳と衝突した。
激しい衝突音。そして一瞬遅れて俺の元にやってきた右手。
「グア……ッ」
俺は巨大な右手に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
同じ薙ぎ払いでも、黒竜とは格が違いすぎる。
たった一発喰らっただけで、相当なダメージが体に圧し掛かっていやがる。
今、もし中村さんの結界が勢いを僅かでも落としていなかったら……俺の意識は此処にあったか?
「大丈夫、宮代君!」
ちょうど藤宮が居た地点に落下したらしい。藤宮が俺の元に駆け寄ってきた。
「な……なんとかな」
俺はそう言ってゆっくりと立ち上がる。
まだ立てる……立たないといけない。
「藤宮、まだ送られて来ないのか!」
「まだ来てな……来た!」
藤宮がそう言った瞬間、ポーチから六角形の魔装具を取り出し、それと同時に正面に大きめの弓を出現させる。
その弓に六角形の魔装具を翳すと、六角形の魔装具は光を発しながら消滅し、代わりに青い光を灯した。
「これで完成よ!」
「本当か!」
「こんな時に嘘なんて付かないわよ!」
そう言って、藤宮は弓を構える。
すると光の粒子が集まり、一本の矢が形成された。弓からは無数のツタが生えてきて、地面に突き刺さり標準を固定する。
これが……対アポカリプス様の魔装具か……。
「宮代君、これを撃つのにあと少しの間力を貯めないといけない……その間私は動けないから、こっちにアポカリプスが向かってこない様に……うまく時間を稼いで!」
また時間稼ぎか……オーケー、上等だ。
「任せろ……って、オイ……何やってんだアポカリプスの奴」
再び飛び立とうとしたところ、アポカリプスの取った異様な構えに思わず立ち止った。
様子がおかしい。
今までだったら、周りに居る俺達に攻撃を仕掛けてきた筈なのに、今は周りにギルドの面々が居るのに見向きもせず、こちらに向かって右手を突き出している。
「まさかあの構え……ッ」
藤宮が弓を構えながら呟く。
あの構えは……俺の必殺技と同じ構えじゃねえかよ。
まさか……アレをこっちに撃とうっていうのか?
「藤宮、このまま此処に居たらマズい! 一旦移動して……って聞いてんのか藤宮!」
藤宮は全く動く気配が無い。
「おい、ふじみ――」
俺が言いかけた所で、藤宮がげっそりした顔を向けてきた。
「どうしよう宮代君……攻撃態勢が……解けない」
それ即ち……避けられない。
「え……冗談だろ?」
「最終的なチェックをする時間が無かったから、何か不具合があるんじゃないかって思ってたんだけど……まさかこんな所で。……どう頑張っても手が離れない」
じゃ、じゃあどうすればいいんだ
一本一本この周りのツタを抜くか?
試しに一本引っ張ってみるが、相当な強度でビクともしない。
仮に抜けても、一本一本抜いてたら間に合わない。
「……ッ」
そうこうしている内に、アポカリプスの右手の手前に魔法陣が展開される。
「……ったく」
もうこうなったら……やるしかねえよな。
「もういい、宮代君だけでも……って、何やってるの宮代君!?」
俺も右手を正面に突き出し、魔法陣を展開する。
「自分が何やってんのか分かってんの! 相手はアポカリプスなのよ! 勝てるわけ無いじゃない!」
「……勝てなくたっていいんだよ」
慌てて訴える藤宮に、俺はそう呟いて返した。
「確かに、俺の攻撃じゃどう頑張っても勝ち目はねえよ。でも俺が負ける前にお前がソレを放てば、俺達の勝ちなんだ」
「でも――」
「藤宮!」
俺は藤宮の言葉を制止させた。
「お前も以前校舎裏で俺を守ってくれただろうが。俺にもいいカッコさせろよ」
お前ほどカッコよく守れるかは分かんねえけど、全力は尽くすさ。
俺の言葉を聞いて、藤宮は少し間を開けてから、かき消えそうな小さな声で言う。
「……分かった。頑張って」
「ああ、頑張る!」
俺がそう言った瞬間、アポカリプスの手から魔力と思われる物が放たれる。
俺もそれに合わせて、魔力を撃ち込んだ。
俺の魔力とアポカリプスの魔力がぶつかり合う。
「ガ……ッ!」
手が軋んだ。
完全に……押されている。
力の差は九対一ぐらいじゃないだろうか。
これじゃすぐに潰される。
「クソ……ッ」
何かないか……この窮地を脱することができる秘策は。
単純に……もっと俺に魔力があれば……魔力があれば?
「そうだよ……なければ増やせばいい」
なんでもっと早く気が付かなかったんだ。
この技は余りの魔力を正面に撃ち込む技だ。
だったら……余りを増やせばいい。
「魔装……解除!」
俺は全身に掛けられた強化魔術を解く。
これで俺は魔法が使える普通の女の子になってしまったわけだが……その代わり撃てる魔力は増加する!
次の瞬間、俺から放たれる力が一気に増した。
これでハ対二ぐらいだろうか。
まだだ……まだ全然足りない。
他に解除できる魔術は……、
「……あった」
よく考えたらもう一つだけあった。
って……いやいや、これは解除して良い物なのか? 絶対触れてはいけない項目だと思うんだが。
だが……此処で終わるより、絶対にマシだ。
「クソ……背に腹は代えられねえ! やってやんよおおおおおおおおおお!」
俺は掛っていたもう一つの魔術を解いた。
もう一つの魔術……すなわち女の子に変身する魔術。
「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
やけくそ気味にそう叫ぶ。
これで六対四ぐらいになった気がする……ってか強化魔術とかより女の子に変身する魔術の方が魔力使ってたんだな! 比率おかしいだろ!
「まだか! 藤宮!」
「あと十秒よ!」
後十秒か……ここまでやっちまったんだ。最後までやり遂げろ!
「グ……ッ」
俺の魔力は少しずつ押されている。でも……十秒ならなんとか持たせられる。
腕が軋む手が。足元が陥没する。それでも俺は放ち続ける。
そして……心の中で数えていた数字が十に達した。
「撃てえええぇぇぇ、藤宮あああああああああああああああッ!」
「これで……終わらせる!」
藤宮は眩く輝く矢を放つ。
その矢は、轟音を纏いながら俺とアポカリプスの魔力を貫通し、一直線にアポカリプスに向かって進んで行き……アポカリプスを貫いた。
「ウゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!」
今までどれだけ攻撃を浴びせても、漏らさなかったうめき声を挙げる。
「アポカリプスガ……弱っていっている」
その証拠にアポカリプスの魔力の放出が相当弱まっていた。
今なら……押せる!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
どんどん弱まっていくアポカリプスの魔力を、俺の魔力が押す。
「行けえぇぇぇぇぇ、宮代君!」
「おうッ!」
多分普通にこの攻撃を放っても、アポカリプスは平然と受けとめただろう。
でも今なら大丈夫だ。
藤宮が消滅寸前までアポカリプスを追い込んだんだ。
きっと抵抗力も大きく下がっている。
だからきっと俺の攻撃はアポカリプスに届く……届かしてみせる!
アポカリプスの魔力を押し切った俺の魔力は、アポカリプスの胴体に直撃する。
「貫けええええええええええええええええええッ!」
俺は必死にそう叫ぶ。
俺だけじゃない。辺りからも激しい叫びが聞え、この場に居る全てのギルドの面々がそれぞれの攻撃をアポカリプスに浴びせる。
この場にいる全ての人間の総攻撃。いくらアポカリプスとはいえ、弱っている今では受け切れられる様な攻撃ではないはずだ。
満員のライブの会場の客の様に、俺達は叫び散らす。
俺の魔力がアポカリプスの胴体を突き破ると、中心で悲鳴の歌を歌っていたアポカリプスの声量が跳ね上がり、その場に崩れ去り……光の粒子を残して消滅した。
「……やった……のか?」
攻撃を止めて、無意識にそんな事を呟く。
辺りに数秒の沈黙が訪れる。
あれだけ強大な精霊を……俺達は倒したのか?
一瞬、目の前で起きた一連の出来事が信じられなくなる。
だが、それもやがて受け入れ……沈黙に包まれた空間に歓喜の声が上がっていく。
「っしゃあああああああああああああああああ!」
俺も、変身を解除する事も忘れ、その歓喜の一部となった。
あれを……倒したんだ。
嬉しくない訳がねえ!
「宮代君!」
魔装具を解除した藤宮が声を掛けてきた。
「やった、やったわよ! アポカリプス、倒したわよ!」
そう言う藤宮は……なんというか、いつもの雰囲気とは少し違っていた。まるで嬉しいという感情だけを表に出したというか……とにかくすげえ嬉しそうだ。瞳からは嬉し涙というべきか、一筋の涙が流れ、頬を伝っていた
「ああ、……倒したんだぜ、アポカリプスを」
「ええ。宮代君が来てくれたおかげよ……ありがとう」
藤宮は涙を拭いながらそう言う。
そう言われると……やっぱ照れるな。
「で、宮代君。いいカッコさせろよって事で、見事にカッコよく決めてくれた訳だけど……とりあえず自分の姿を見てみなさい……ヒーローがなんて格好してるのよ」
「格好? ……ってなんだよこれ!」
言われて改めて見ると、なんかとんでもない事になってた!
アレである……一言で言うと女装だ。魔法少女のコスプレだ! 痛々しい! 痛いたしすぎる!
「ど、どうしよ藤宮!」
「なにテンパってんのよ……まあ自分の気持ち悪い姿を見れば、だれだってそうなるかも知れないけど」
気持ち悪いとか言うな! 事実だけども!
「冷静になりなさい。変身を解けばいいの。理解した?」
「……ああ……そうだな」
人間焦ると駄目だな。こんな事も頭から抜けて行くなんて。
俺は慌てて変身を解除する。
服装も避難していた時の私服に戻り、これで何処からどう見ても普通の男子高校生だ。
「とりあえず佳奈に連絡でも……って、またかよ」
買い換えたばかりのスマホが……木端微塵!?
また買いに行かねえと……折角操作慣れてきたってのに。
「宮代君」
少々落ち込む俺とは対照的に、明るい声で藤宮は俺に言う。
「改めて言うわ。本当にありがとう」
藤宮は満弁の笑みだった。
携帯は壊れちまったけど……なんだかどうでもよくなったな。
俺は軽く息をつく。
「こちらこそ色々ありがとな、藤宮。これからもよろしく頼むよ」
俺がそう言うと、藤宮は俺に右手を差し出す。
「じゃあこれからもよろしく。ギルドナンバー1948。宮代椎名君」
「おう!」
俺はその手をしっかりと握った。
「おーい。何二人で楽しそうに手握ってんだよ。俺達も混ぜろ!」
「そうですよ! 私達も混ぜてください!」
折村さんや中村さん。そして村上さん達ギルドの面々が、俺達の元に駆けつける。
見た所戦闘メンバー全員、誰一人欠けて無い。各々怪我してるけど、全員無事だ。
「っしゃ、折角アポカリプスなんて大ボスを倒したわけだからさ、今日のヒーローの宮代を胴上げしようぜ!」
「ちょっと折村さん! なんか嫌な予感しかしないんですけど、大丈夫なんですか?」
「大丈夫、落とさねえよ。なぁ皆!」
見慣れた面々が歓声を挙げる。
なんか……この風景が懐かしい。
しかしこの雰囲気は……悪乗りしすぎて痛い目を見るパターンだ。
「じゃ、皆、行くぞ!」
皆が一斉に俺を取り囲み、持ち上げに掛る。
「落とすなよ! 落とすなよ! 絶対に落とすなよ!」
「その言い草だと、まるで落としてほしいみたいね」
「人をリアクション系お笑い芸人扱いしないでくれねぇ!?」
俺がそう叫ぶと、折村さんが心底不思議そうに、
「え? 落とせばいいのか」
「んなわけないでしょ! 落とすなよ……絶対に落とすなよ!」
「つべこべ言ってないで、大人しくしてなさい。怪我するわよ」
「あーくそ、もうなるようになれ!」
「じゃあ投げるぞ、せーの!」
掛け声と共に俺は空を舞った。
ヤバい、超怖い……でも、悪い気はしないな。
これでこそ、ギルドに戻ってきたって感じがする。
『……あ』
一斉にやっちまった的な声が聞えた。
なんか……無茶苦茶な方向に飛んでるんですけど!
「うわっぷ!」
よくわからない声を挙げながら、辛うじて受け身する。
うぉぉ……強化制服来てないから普通に全身が……痛い。
っていうか俺時雨木葉との戦いと、アポカリプスとの戦いで結構重症だし……全身マジ痛い。
「おお……受け身うめぇ……」
「てか何よ、うわっぷって……間抜けすぎるわ」
全員が一斉に笑う。
確かに……この空気は大好きだよ。悪い気はしない。
でも……お前らは少し悪い気を持て!
「よし! 気を取り直して第二ラウンド行く?」
「行かねえよ! 怪我人にそのノリは若干キツイわ!」
まあ正直、若干とか言ってる時点で決行俺もノリノリなのかもしれねえな。
「てか藤宮。他のギルドの皆さん、必死に周辺の後始末っぽい事をしてるみたいだけど、俺達は参加しなくていいのか?」
俺がそう尋ねると、ギルドの面々が一斉に間の抜けた声を挙げる。
「……すっかり忘れてたわ。みんな、取り掛かるわよ!」
そう言って、他のギルドの面々が作業をしている所に向かって、藤宮は歩き出す。
「さ、宮代。俺達も行こうぜ」
「置いてかれますよ、宮代さん」
折村さんと中村さんが俺の名を呼ぶ。
「ああ、行こうか!」
俺はそう言って、皆と共に歩き出した。
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