とにかく爪痕を残しがちだった地下アイドル時代

これだから私はモテを知らなかったんだ

なんぼなんでも地下だろうと「アイドル」なんだから多少はモテたりしたでしょ?

と皆さん思うかもしれないんですけど


本気でモテないどころか

男性ファンがレアでした。


主に私は女の子に好かれやすくて

その感想がほぼ「カッコいいから」でした。


と言っても別にヅカ的なパフォーマンスをしていた訳ではないです。

逆に私は「1本のレギュラーより1回の伝説」

…そう、例えるなら江頭2:50さん的なパフォーマンスをしていたアイドルだったんです。


まず、私はいち早く客席を見て

携帯を弄り始めたお客さんや、ゲームを始めたお客さんに狙いを定めます。

挨拶をすませて一曲目を歌い終り、MCというのが大体の流れなんですけど

そこで唐突に

「私自分の出番で携帯弄られるの大ッキライなんすよ。そう、そこのね、お前。お前だよ!」

と生贄の首根っこを引っ掴んで公開処刑します。

大体ここで客は引きます(当たり前)

会場の空気が冷えきった後

何事も無かった様に2曲目3曲目を歌い終り

最後のMCを投下します。

大体の可愛いアイドルさんは「今日はとっても楽しく歌えました」的な事を言います。

ですが私は某オタクの聖地で


「私の出番が始まってすぐDSを開いたやつの事を、私は一生忘れません」


と吐き捨てたそうです。

ちなみにこの時の私のステージドリンクは某ファイト一発でおなじみの栄養剤。


明らかにこいつだけ戦場に戦いに来てます。


こういうパフォーマンスを繰り広げ

時にはステージに横になりブランケットをかけて寝てみたり(という寸劇です)

アイドルライブでデスボイスを披露してみたり

(そこで女の子に一目惚れされました)

まさに「爪痕を残しすぎるアイドル」としてステージに立っていました。


思えば私がステージに立つ理由は承認欲求の塊で

とにかく目立てれば何でも良かったんです。

男にモテたい、チヤホヤされたいという願望はありませんでした。

いや、だからってこのステージは目立つけど何も生まねーわ。

生まねーわって思ったんですけど演者からのウケとか、ライブハウスさんからの「内輪ウケ」が凄くて

変な話、そういう横の繋がりのおかげで

オファーだけは途切れないけどなんの利益にもならない状態が生まれてしまったんだと思います。

アイドルになりたての時期こそ色々なところに売り込みに行きましたが、

全てがどうでも良くなってきた30代からは自分から売り込みはほとんどしないで

来たオファーを受けてるだけでした。

無欲というのは恐ろしくて

たまに超有名番組からのオファーとかも紛れていました。

勿論それらも二つ返事で受けてきた結果

「どっかで見たことあるけど人気はない地下アイドル」

という、もう何なんだかわからない知名度はあるけど全然金銭面追いついてないアイドルが出来上がってました…。

ここまで書いたけど私本当にアイドルだったのかわからなくなってきたよ…。

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