ウラノ・コネクション
以前の機種よりも大幅な改良が加えられ、詳細な地図で広範囲のカバーが可能となり、建物内などはハックしたCCTVの映像を瞬時に解析して立体画像で表示できるようになった。画面上では二つの近接した赤丸と、ビルの外を歩いている一つの赤丸が点滅を繰り返し、それぞれ「トオノ」「ハヤシ」、それから「チエ」と名前が表示されている。
ウェイターが近づいてきたので道子は一度GPS端末を静かに伏せた。テーブルに
「もしもし。私です。そのようね。ええ、大丈夫よ。あの子は始末してくれたのよね? 間違いないわね?」
電話の相手は前回と同じ女のようだ。
「それじゃあ、今回の分も振り込んでおきますから。いい、ここからが大事なのよ。わかってるわ。こちらも今日よ」
お金さえ払えばどうにでもなるものね、と道子は思った。特に若い女は金に
「お薬は受取ったわよね? あの子に使ったのとは違って、今度のは飲ませないと効果が無いの」
道子にはもう失うものがなかった。遠い昔に娘を失い、最愛の夫もクモ膜下出血による脳卒中で二ヶ月前に他界してしまった。それからというもの、道子の頭の中には瑠璃の無念を晴らすことだけが渦巻いていた。
「ええ、そうよ。それであなたは自由よ。終わった時には大金持ちね。心配いらないわよ。ええ、よろしくお願いしますわね。はい、ごめんください。さようなら」
いかにして金を使うかよりも賢い頭の使い方を学んだ方が、ゆくゆくは自分の身を守ることに
道子から見た今の若者たちは、重要なことをあまりにも知らない、無知で未熟な生き物でしかなかった。情報ばかり追いかけ、インターネットで見知ったことを知識と勘違いしてひけらかす。全てを知ったような気にはなっているけれど、実際は情報に踊らされていることに気付いていない。
「亀の甲より年の
道子は誰にともなくそう呟いた。
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