第1254話 購入してから集合場所へと向かった。的なお話
「それでその景品の腕輪ってどんな腕輪なんですか?」
「これ? ちょっと待ってね……これは【退魔の腕輪】だって。どうやら装着者のMDFを+10%する物みたいだね。」
「10%!? +10じゃなくて?」
「うん。+10じゃなくて。」
「それ、凄くないですか?」
「凄いよ。超級というだけはあるね。というわけではいこれ。レントにあげるよ。」
「え、いいんですか……?」
「私が持っててもあんまり意味ないからね。現役を半分引退した身だし裏方だからね。それよりも現役の人に使ってもらった方がいいからさ。それに、レントには怪我してほしくないからさ。」
「アデル……。」
「うぉっほん! 私達がいる事を忘れないでほしいっすね。」
「そうですね。それに、いくらここが他の国とはいえそう気安く愛称で呼ぶのはどうかと思います。どこで誰が聞いてるかも分からないのですから。」
「あ、うん。ごめん。つい。」
「分かればいいんです。ついでに私の事も呼び捨てにしてくれてもいいんですよ?」
「それは善処しますとしか言えないかな。ごめんなさい。」
言われてみれば確かに迂闊だった。
咄嗟の事でつい口から出てしまったが、お互いの立場というものもあるしもっと注意しないと。
壁に耳あり障子にメアリーって言うしね。
呼び捨ての件は、正直に言って既にさん付けが当たり前になってて今更呼び捨てにするのは難しいというかなんというか……一度定着した呼び方って変えづらいんだよね。
何でだろう?
「それじゃ、次はどこに行くっすか?」
「それならそろそろいいんじゃないかな?」
「何がですか?」
「食べ物だよ食べ物。祭りの醍醐味といえば美味しい屋台でしょ。もうそれなりに時間経ってるし2人も食べられる筈だよね?」
「そうですね……謎解き細工でかなり時間を使いましたから大丈夫です。」
「あー、待ってる時間とか結構あったからね。」
なんだかんだで謎解き細工で4、50分程使ったみたい。
移動の時間や他の所でもそこそこ時間を使ったのでお腹には余裕が出来たみたい。
というわけでアデル待望の屋台食べ歩きの始まりです。
まあ、それをするにもまずは移動をしないといけないんだけど。
「ん〜、やっぱりヤマトは良いねぇ。そこかしこから良い匂いがするよ!」
「確かに食欲をそそる良い匂いっす……。」
「これは醤油の匂いかな。それにあっちからは味噌の香りもする。やっぱヤマトは良いねぇ。」
醤油に味噌!
日本人としてはこの香りは堪らないよ。
どういう経緯でもって醤油と味噌が生まれたのかは知らないが、グッジョブヤマト!
何度だって称賛の言葉を贈ろう。
グラキアリスとかでも美味しいものはいっぱいあるよ。
塩味も好みだし香草焼きとかも美味しいけど、やっぱり原風景というか醤油と味噌には惹かれてしまうんだよ。
日本人の性だね。
間違いない。
そうしてあっちにフラフラ、こっちにフラフラと匂いに釣られて複数の屋台を梯子していろいろな食べ物を確保していく。
リナさん、アイリスさんも自分の胃袋と相談しながら好みの物を買っていく。
ストレージがあるのだから好きな物を好きなだけ買えばいいとは考えない。
屋台で買ってその場で食べる!
それも祭りの醍醐味というか楽しみ方だろう。
「そろそろ集合場所に向かった方がいいかな?」
「もうそんな時間っすか?」
「楽しい時間はすぐに終わってしまって寂しいですね。」
「じゃあ最後にあそこに寄ってから行こうか。」
「あそこって、アレは何をやってるんですか?」
「アレは飴細工だよ。ああやって飴を伸ばしたり切ったりして形を作っていくんだよ。」
「え、あそこにあるの全部飴っすか!?」
「多分ね。」
「凄いですね……。」
気持ちは分かる。
見本にあるのだけじゃなくてリクエストも受け付けているようで、客に言われた物を手早く作って渡していてその手並みはまさに職人技。
本当に凄いとしかいえない。
自分達の分と合わせて合流するみんなの分も購入してから集合場所へと向かった。
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