第1202話 大名の娘のオススメだし楽しみだな。的なお話

「最後のすごかったね〜。」

「圧倒された。」

「絵が上手いわけじゃないのに、なんか異様な存在感があったわね。」


あの壁画に圧倒されたのは俺だけじゃなく、みんなも何か感じたみたいだ。

まあ、なんかすごかったからな。

本物を見ればもっと何かを強く感じたかもしれないな。

何かが何なのかは分からないけど。


美術館をなんだかんだで楽しんでいたようで、気づけば2時間以上時間が経っていた。

ワンフロアにつき30分くらい居たって事になるのかな?

ただ美術品とかを見るだけだからそんなに時間はかからないだろうと思っていたからこれには驚きだ。


とはいえ、2時間以上といってもお昼を食べてからすぐだからまだ3時半を少し過ぎたくらいで、夕食まではまだまだ時間がある。

なので美術館の売店を少しばかり見ることにする。

俺も知らなかったんだけど、美術館にはこういう売店があったりするんだね。

ひょっとして日本の美術館にもこういう売店とかあったのかな?


売店の商品のラインナップだけど美術館の名前が入った筆にメモ帳、紙の束を押さえるあの……名前は分かんないけど、あの重りもある。

あ、これも文鎮って言うのか。

文鎮って、習字の時に使う棒状の奴しかイメージ無かったからこれも文鎮って言うとは思わなかった。


意外なのがお菓子。

せんべいとかクッキーとか売ってる。

なんかもう、一気に俗世に塗れてる感じになったな。

まあ、経営とかを考えると入場料だけよりもこういうのがあった方がいいんだろうな。

絵を仕入れたり、借りたり、従業員を雇って養って、施設や設備を管理維持、その他にも色々あるんだろうけど、それらを入場料だけで賄うのはなかなかに難しい気がする。

それだったらこういうお土産とかを作って売った方がいいんだろう。


そして今回の売店の目玉商品と思しき物は英雄グッズ。

ソウイチロウ君人形とかソウイチロウ君人形焼きとか英雄なりきり衣装とか木刀とかとか。

うん。

何で木刀?

ソウイチロウ・サノって彫ってあるけど、これ何か関係あるの?

いや、お土産の定番ではあるけどさ。

後こっこり入浴剤とか売ってるんですけど。

このサノさんは温泉が好きだから分からなくはないけど節操なさすぎでしょ。

英雄なんて言われるくらいだし戦って傷を負ったりしただろうけど一般の人に薬湯用の入浴剤とか売っても買うのか?

うーむ。

商魂たくましいと捉えるべきなのか節操なしと見るべきか……。


結局この売店でも結構な時間長居してしまい、1時間とは言わないまでも4、50分程見てしまっていた。

みんなも折角だからと何かしら買ってたし。

まあ、俺も買っちゃったんだけどね。

どこで何のために使うのかも分からないしそもそもただの木剣なら自分のもあるけど木刀を買ってしまった。

いやほら、定番だからさ。

やっぱり俺も男の子だしこういうのは好きなんですよね?

だから仕方ないというかなんというか……って、誰に言い訳してんだろうね俺。


後はせんべいと文鎮となりきり服。

ご丁寧に着方の説明書付きなんだけど、これ襟が逆……サノさん、普段から襟が逆で過ごしてたんだろうか……?


美術館を後にして一旦宿に帰る。

これから行く夕食のお店『さざなみ』はドレスコードがあるわけじゃないけど、それなりに高級なお店という事なので一応それ相応の格好をしようということになった。

時間が中途半端に余ったからそれを潰す為でもあるけどね。

そんなわけで全員ヤマト服に衣装チェンジ。

俺も甚平に着替えた。

……いや、甚平はなんか違くない?

作務衣よりかはマシだが……でも他に服ないし。

浴衣の方がまだ良かったかな?

ま、いいか、ドレスコードないし。


宿に戻って着替えてと時間を使ったので今出ればちょうどいい時間となるだろう。

さてさて、アザミが教えてくれたさざなみという店だけど、どんな料理が出てくるのかな?

大名の娘のオススメだし楽しみだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る