第1194話 最悪ノープランで行けばいいけどさ。的なお話

どこが良いかとあっちへこっちへと右往左往しながら探していくが、時間も時間で徐々にお店がお昼用から夜用にメニューや対応がシフトしていく。

急がないとメニューが確認できなくなるし。


そんなこんなで急いで探すと何やらエビの良い香りが漂ってくる。

エビを焼く良い香りだ。

エビ、いいなぁ。

うん。

ここにしよう。

でも一応店の様子を確認して……大丈夫そうだ。

今回は一見さんお断りのお店じゃないし。


お昼の店も決まったので次は夕食のお店。

夜のお店って言うといかがわしい感じになるので夕食のお店だ。

俺はそう言うお店には行った事ないけど。

行く必要もないしな。

嫁さん達がとにかくかわいいから必要がない。

これ大事。


夕食のお店は肉系をがっつりが良いけど、どういうのがいいかな?

ヤマトは日本っぽい国という事もあって料理は和食寄りで、和食で肉といえば鍋が真っ先に浮かぶ。

浮かぶんだけど、前にすき焼き的なのを食べたからなぁ。

あれは定食で1人用だったけど、それでも食べちゃったから別のが良いかなっていう思いもあるわけで。

すき焼きは好きだけど他の鍋もあるからな。


鍋以外だと何があるかな?

焼肉、ハンバーグ、ステーキ、ケバブと日本では色んな肉料理が食べられるけど大体は海外から入ってきた料理だ。

昔の日本では肉食が禁止された時期があったらしいし、それでぱっと浮かびにくくなってるのかな?

もちろん日本の肉料理もあるが、ご馳走感のある料理となると鍋以外だと海外のが真っ先に浮かんでしまう。

ちょっと困った。

まあ、ここは日本じゃない。

適当に高そうで肉料理を扱っているお店を選べば良いか。

料理はメニューを見てから考えるって事で。


どこか良いところは……あ。


「アザミ。良いところにいた。」

「あんたはユキノが選んだ……何の用?」

「いや、この街で美味しい肉料理の店を知ってたら教えてもらえないかなって思って。」

「よく声なんてかけれたわね……。」

「何が?」

「……何でもないわ。肉料理の店ね。それなら『さざなみ』っていう店がいいわよ。場所は役所の前の道を左に行って3つ目の曲がり角を右に曲がった先にあるわ。」

「そうか。ありがとな。」

「別にこれくらい構わないわよ。」

「それでもだよ。」

「じゃあ、私はこれで。」


ひらひらと手を振りながら去っていくアザミ。

それを見送っているとセフィアがやって来て話しかけて来た。


「いつの間に仲良くなったの?」

「仲良くってほどじゃないが、三次試験の時にたまたま会ったことがあって、その時の俺は道に迷っててさ。色々と道案内してもらったりした事があるんだよ。それに、その時は牛鬼の件があった時期でアザミからもお見舞いの品を貰ったろ? あの時だよ。」

「ああ、あったね。その時から仲良くなったんだね。」

「だから仲良くってほどじゃないって。最初はああだったけど、ユキノに対するツンデレってのは知れたから、それ以来なんだか話しやすく感じるようになったのは確かだな。」

「あ、それは僕もちょっと思った。」


後はアルフレッドの件もあるけどな。

流石に人様の恋路をホイホイ話すわけにはいかないが、なんとか上手く行って欲しいものだ。


「さて。それじゃあいい情報をもらった事だし、早速そのさざなみって店に行ってみるか。道は教えてもらったけど実際に行って確認した方がいいしな。」

「そうだね。それに途中に何か面白いものとかあるかもしれないしね。」

「そうだな。何かあるといいんだけど。」


そして確認した店はなかなか立派な店構えで、料理にも期待できそうだ。

ここも一見さんお断りではなくて一安心。

お昼と夕食の店は決まった。

劇場は午前の部のチケットだから、残るはお昼から夕方までの時間だな。

ここの空き時間用に何か面白いものが見つかるといいんだけどな。

最悪ノープランで行けばいいけどさ。

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