第1100話 本当に良かったよ。的なお話
天に、この世界に、そして我が女神に感謝を……。
あ、今なんか変なテンションになってた。
コハルさんの料理は、手際だけではなくその味もまた素晴らしいものだった。
料理の腕自体はセフィア達とそう変わらないだろう。
だけど、和食なのだ。
それだけで、天に、そしてアリシアさんに感謝をしてしまったとしても不思議じゃないだろう。
セフィア達の料理もそりゃ最高だ。
可愛くて料理上手で家事も出来て人柄も申し分なく、そんで可愛いのだから素晴らしい嫁達だ。
だけど、そこはやはりヤマト人じゃないし日本人でもないから和食系はあんまり作れない。
和食の材料を使った洋食って感じだし、アカネは元日本人だけど腕はセフィア達から一歩劣る。
昔に比べたらかなり上達したけどね。
その点、コハルさんはセフィア達に匹敵する技量でヤマト人だ。
和食系に関してはコハルさんの方が上だ。
本当に、天は二物を与えずとはよく言ったものだ。
確か天は人に多くの才を与えることはなく完璧な人間は存在しないって意味だったかな?
料理の腕は素晴らしいが、それを帳消しにする痴的好奇心がな……。
ちなみにセフィア達は素晴らしい嫁達だし二物どころか何物も与えられてるけど、実際に神様から色々貰ってるので適応外って事で。
お昼を終えて移動を再開する。
このまま何事もなく次の街へと着いてくれればいいんだけど、そうは問屋が下さない。
リリンが魔物の出現を察知する。
まあ、こんな街道付近でそうそう強い魔物なんて現れることなんてないだろう。
昨日鵺と戦ったばかりだけど、あれは例外。
トレインされるなんて誰も想定するはずがないから。
戦闘準備を終えて待ち構えていると、ついに目視にてその姿を確認する。
現れた魔物はオークだった。
あれ、オーク?
これまで赤鬼、青鬼、鵺と和風というか、妖怪系の魔物だったからてっきり小鬼とか餓鬼とかそういう妖怪系の魔物が現れると思ってたのに、蓋を開けてみればオークかい……。
いやまあ、出ちゃいけない理由はないしここは日本じゃないんだから居てもおかしくはないんだけど……なんだろうな、このモヤモヤ感。
オーク自体はもはや敵でもなんでもないのでサクッと首スポーンして倒して先へ進む。
魔物の襲撃はオークだけで終わり、日が傾き西の空が少し赤くなってきた頃に次の街へと辿り着く。
ここでも例によって入門税を払って街の中に。
そういえば2回目のスオウでは入門税を払ってなかったな。
まあ、トレイン被害にあってその関係で領主であるフミカゲ様に会ってもらうって形で中に入ったからノーカンなんだろう、きっと。
税金を払うついでにいつも通り街の中のおすすめの宿を聞く。
希望内容は当然飯がうまくて風呂があるところ。
そうして紹介されたのがこの雪の宿。
ちなみにここも風月庵と同様に花鳥園の姉妹宿との事。
多分他に月の宿と花の宿が存在すると思う。
「所でコハルさん。」
「なんでしょうか、旦那様。」
「旦那様?」
「はい、今は旦那様の側使いですので。それで、なんでしょうか?」
「えっと、宿に泊まるんだけど、その費用はどうするのかなって、ちょっと気になって。」
「ああ、その件でしたらフミカゲ様より頂いておりますのでなんの心配も要りません。」
「あ、そうなんだ。それなら良かった。」
旦那様には面食らったが、どうやら俺がコハルさんの分の宿泊費を払わずに済むようだ。
勝手についてきた挙句宿代まで払わされようものなら、本当にもうどうてしくれようかと思っていたからな。
本当に良かったよ。
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