第1036話 無駄に情報通なイメージあるよね。的なお話
ようやく……本当に、ようやく下着選びが終わる……。
リリンがそういう系のばっかり選んでいたのも大変精神を削ってきたけど、それだけじゃなくて、その様子を見ていた他の嫁達もまた、そういう色っぽい下着を選び出してしまった。
セフィア達だけでなくシア達まで選び出してしまったもんだからもう、ね。
だが、それも終わりようやく店を出られる。
「次は服選びだね。最近稼いだから色々変えるのが嬉しいよね。」
「ん。わくわく。」
「はい。今なら気になったの全部買えちゃいそうです!」
……そういえば、そもそも服を買いに来たんでしたね。
忘れてました。
「あー、言っておくけど、俺はそういうセンスは自信無いから選ぶのは手伝えないぞ。ただ、試着してみて似合ってるかは言えるから。」
そもそも何かある際の服とかも全部セフィア達が選んでいるからなぁ……。
自分でコーデするなら多分無難を目指して普通の服と普通のズボンとかを選んでいると思うし。
事前に宣言したのが良かったのかどっちがいいかとかは聞かれなかったが、色々な服を試着室に持っていったみんなから感想を求められた。
だから全部かわいいと返した。
「さっきからかわいいしか言ってない?」
「同じ感想なのは仕方ない。だって、本当にかわいいんだもん。そもそも元からセンスの良い嫁達が選んだ服なんだ。そして素材が極上。これでかわいい以外の感想があるだろうか? いや無い!」
「え、あ、……その、ありがとう。」
本音を勢い任せにぶちまけたら照れ照れとしながら感謝を言われた。
むしろこっちの方がありがとうございます。
その表情だけで疲れが吹き飛ぶというもの。
しかしそれは気のせいだった。
「じゃあ次はレントの服だね。」
「ん?」
「だから、次はレントの服を選ぶって話。さっき自分で自信無いって言っていたから僕達が選ぶから安心してね。」
「え、おう……。任せた。」
「任せて!」
さっきと同じくらい良い笑顔だ。
だけど何故だろう?
背筋に冷たいものが流れてる気がする。
◇
「次はこれとこれ、後これを着てみて。」
「……分かった。」
最初に試着室に入ってからどれだけの時間経っただろう?
最初はセフィアとリリン、ルリエだけだった。
しかし時間が経って自分達の服を選んだみんなが次々と合流して、そして善意で、あるいは面白半分で、服を選んでは俺に手渡してくる。
9人全員がそれぞれ選んでは渡してくるのだ。
着替えるだけでも時間がかかるのに、9人全員が選んでいるもんだから終わりが見えないのなんの。
「あ、ちょっと待って……そのジャケットよりもこっちの方が良くない?」
「いや、そっちだと全体のバランスが……」
「そこをこれを使って統一感を出すのよ。」
「あ、成る程。」
「ならこっちの帽子を組み合わせるのはどうですか?」
「いいね。」
キャイキャイと、楽しそうに話してる。
側から見る分には目が幸せな光景なんだけど、内容が自分の服選びというのがなんとも……。
話が弾んでいるし、こりゃまだまだ続きそうだな。
俺が店を出る事が出来たのは、試着室に入ってから実に2時間経ってからのことだった。
「あー、疲れた〜。」
「ごめんね。レントがどれ着ても似合うもんだからなんだかだんだん楽しくなっちゃって。」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、流石に2時間はね……。」
「あはは……本当にごめんね。」
下着選びやセフィア達の服選びをしてからの2時間の着せ替え人形。
それだけやれば疲れるというもの。
そしてそれだけの時間あの店にいたということでもあり、それだけ長時間いた結果もういい時間となっていて、今はお昼ご飯を食べる店を探している。
明日からは船旅なわけだし、なんというか、こう……アクリアらしいものがいいなって思ってるんだけどなかなかね。
その辺のお店に行けばいいのか、それとも専門店を選べばいいのか……むぅ、悩むな。
「よし。とりあえずここは、屋台で何か食おう。」
「なんで!?」
「いや、お腹空いてるし……それに、そういう店ならどこかいいお店を知ってたりしないかなって。」
「あ、そういう事。」
困ったときの露店。
なんかこういう世界の露店の人って、無駄に情報通なイメージあるよね。
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