第992話 次の街に着けるといいな。的なお話

「おお……確かにこれは、気持ちがいいな。」


休憩の後、ちょっと興味があったので移動する際に馬車の上に乗ってみた。

セフィアが言っていた通り視線が高くなるから景色が見やすく、風が当たって爽快感がある。

残念なのは景色が見やすいけど見える景色が基本木だということかな。

まあ、自然が多いっていうのは良いことだよね。


木、ばっかだな……。

なんか、飽きてきたな。

景色がもっと綺麗だったり、変化があればまた違うんだろうけど、本当に木ばっかだから見応えがない。

風を切る感覚は気持ちいいけどさ。

でもなぁ、景色が変わらないのはいただけない。

次の休憩の時は馬車の中に戻ろう。

今ここにいるの俺だけだしな。


ん?

あれは……山だな。

遠いけど山だ。

いや、山なのはいいんだよ。

山くらい普通にあるさ。

問題なのは、山の中腹あたりに白い塊のような物が見えるということ。

しかも動いている。

んー……?

あそこに大きな獣でもいるのだろうか?

フェンリルとかか?

ま、いいや。

かなり遠いしどうしようもない。

それに、動いている気がするだけで実際には動いていなくてあそこには白い花が群生している可能性だってあるしな。


その後……何もなかった。

うん。

やっぱりというかなんというか、これといって特筆すべきことがない。

馬車の中に戻り、アニメ見て、夕食食べて、夜寝る。

アニメ見て、ご飯食べて、寝る。

アニメ見て、ご飯食べて、寝る。

そんなこんなで城壁都市を出てから4日目となった。


うーむ。

今日こそは何かあるといいんだけどなぁ。

とか思ったらあったよ。

茶色い絨毯のような物体が地面に広がっている。

そしてその絨毯には生物の気配があるそうです。

つまりはあれだよね?

セフィアが言っていたあのマットマッド? マッドマット? どっちだっけ?

ま、いいや。

その魔物だ。

その魔物が街道のど真ん中に居る。

結構街道の色と似ているし、馬車で走っている状態で見たら分からない可能性がある。

というかその可能性が高い。

気付けたのもリリン達の気配察知のおかげだ。


「誰がやる?」

「あ、ねぇねぇ、この魔物ってさ、普段上から攻撃くらってるんだよ?」

「知らないけど、多分そうなんじゃないか。」

「なら、下からの攻撃には弱いんじゃない?」

「そうかもしれないけど、それがどうしたっていうんだ?」

「ほら、あんたアリシアさんから魔剣もらったじゃない。あれならよく効くんじゃない?」

「かもな。じゃあ、俺がやっていいか?」


みんなに確認をとるけど、どうやら反対意見はないようなので早速蒼井の提案通りに魔剣を使う。


「火噴け!」


「ギュギョギョギョエエエエエ!!!」


うわっ!?

なんだこの不気味な声は!?

よく分からないけど、めっちゃ効いたんじゃないかこれ?

だってなんかすげー声で鳴いたし。


「う〜わ〜、すっごい声ね。下からの攻撃はやっぱりよく効くみたいね。」

「多分な。まあ、普通に攻撃した場合がどうなるか、属性的な相性も分からないからなんとも言えないけどな。」

「それもそうね。」


そんなわけで魔物も倒した事だしまた移動だ。

遠くの方にうっすらと城壁のような物が見えているし今日中に次の街に着けるといいな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る