第951話 今から行くのが楽しみだ。的なお話

朝か……。

あー、眠い。

長距離での移動があったり、またしばらく会えなかったりでみんながなかなか寝かせてくれなかったせいで、眠いです。

でも起きなくては……今日から、ヤマトに向けて、移動だから……くぅ。


……じゃない!

眠いけど!

眠いんだけど、起きなくちゃ!


ーーパンッ!


頬を叩き自分に気合を入れる。

大して効果はないだろうけど、やらないよりはマシ。

本気でやれば目が覚めるだろうけど、今のステータスだとちょっと怖いし。


目蓋を擦りつつ部屋を出てみんなと一緒に食堂へ行き、朝食タイム。

何人かお寝坊さんがいたけど、無事全員起きてきたし、睡眠不足以外の体調不良の人も居ないので、予定通り今日出発する。


部屋に戻って準備と片付けをと思ったのだけれど、すでに全部済んでいた。

いや、あの、俺まだ何もしてませんよ?

なんで朝食食べに行っただけで着替えの準備は万端、色々と乱れたベッドは完璧にメイキングされているんですかね?

メイドさん、恐るべし。

ってちょっと恥ずいんですけど。


若干不本意ながらも準備はすぐに終わったので一足先に馬車のもとへ。

これからまた長距離を移動してもらうわけだし、アルバとマロンにお願いしておかないとな。


「これからまた移動だけどよろしくな。」

「ブルルル。」

「ヒヒン。」


機嫌は悪くはなさそうで安心した。

軽くスキンシップをしてからエリュシオン邸前へ移動する。

みんなも準備が整ったようで全員集合してる。

アデル、アイリスさん、リナさんもいるけど見送りかな?


「それじゃあ行ってきます。」

「うん。気をつけてね。」

「レントさんの剣の鞘はまたお預けっすか。」

「あー、まあ、こればっかりは仕方ないし……。」

「怪我には気をつけてくださいね。」

「分かってますって。」


見送ってくれる3人に挨拶をしてから馬車を走らせる。

まずは東に進んで海洋国家アクリアへ。

そこから定期船でヤマトへって流れだったっけ?

そういえばこっから先は初めて行くんだよな。

となれば、これまでとは違った魔物が出てくるだろうし、気を引き締めていかないといけないな。


と、思っていたんだけど。

全然魔物が出ない。

そりゃそうか。

そう簡単に魔物が出てきてたらアクリアとの貿易に支障が出てしまう。

そうならないように魔物の間引きくらいしているか。


「ふわぁ〜、暇だ。」


何にもないもんだから睡魔がぶり返してきた。

寝ちゃダメだと分かっているんだけど、そう考えれば考えるほど眠くなってくる。

あー、ダメだ。

眠すぎる。

このままじゃ事故ってしまいかねないし、他の人に代わってもらおう。


「悪いんだけど、誰か御者を代わってくれないか? 眠くて眠くてまともに操車できる自信がない。」

「では私が。」

「レイダさんお願い。」

「任せてください。」


レイダさんに代わってもらい俺は一眠り。

場所は……屋根の上でいいか。

馬車の中だとスペースが無いし、それに今日はいい天気だ。

こんないい天気の日に外で寝るのも気持ち良さそうだ。

というわけで、おやすみなさい。

みんな、後は……よろしく……。



一眠りしたらだいぶスッキリした。

どうも3時間近く寝ていたようで、気づけばリステルの街がかなり小さくなっている。

結構離れたんだと実感させられる。

そうなるとこれからの期待でワクワクしてくる。

アクリアはどんな国なのか、今から行くのが楽しみだ。

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