第949話 あんな風な歳の取り方をしたいものだ。的なお話
「まあ、レントは私と結婚するからどのみち貴族になるけどね。」
そういえばそうなるのか。
アデルとは結婚したいけど、貴族になるのは面倒だな。
いやまあ、結婚するのをやめるつもりはないけどさ。
「ところで、なんで貴族が騎士の任命権持ってるんですか? 普通は王族だけじゃないんですか?」
ゼ⬜︎魔でも姫様が主人公に対して叙勲式をして騎士にしてたし。
だからてっきり騎士も任命できるのは王族だけだと思ってたんだけどな。
「それは簡単な事だよ。王族も暇じゃないし、そんなに沢山の人間に構ってられないからだよ。この国に何人の人がいると思ってるの? そこから騎士に相応しい人を見つけて、選んで、騎士に任命なんて出来るわけないじゃない。」
「確かに。」
「だから、各貴族に任命権を与えたんだよ。元々は優れた兵士を雇い入れる為のものなんだ。優れた戦働きをする人材を放置して他国に持ってかれるのは良くないから、国としては好条件を出してでも雇いたい。でも常に戦場に出ていられるわけもない。そこで各領主に任命権を与えて優れた人材を確保するように指示を出したってのがきっかけ。」
「なるほど。」
「もっともすぐに、自分の所はこれだけの騎士がいるんだー。とかうちの騎士はこれだけの戦働きをしたんだー。って貴族同士で自慢し合うようになったんだけどね。それで領地の経営規模以上の騎士を雇い入れて領地を危機に陥らせる貴族が続出。その結果家や領地の規模によって任命できる騎士の数が決められたってわけ。」
「貴族って、馬鹿ばっかりなんですか?」
「まあ、プライドが服着てるようなものだからね。馬鹿にされるのには耐えられないんだよ。ちなみに、ここ100年くらいの主流はもっぱら侍らせる事に意味を見出してるよ。」
「はぁ? ちょっと意味が分かんないんですけど。」
「数が制限されちゃった以上は別の要素で競うしかない。でもここ最近は戦争なんてない。というわけで装備や見た目で競いだして、今じゃ見た目のいい騎士を侍らせる事が一種のステータスになってるの。」
「改めて言いますけど、貴族って馬鹿なんですか?」
「馬鹿だよ。貴族も王族も元を辿れば普通の庶民だからね。その元庶民が教育をして、その教育を受けたのがまた新たに教育してったわけで、そこから貴族としての贅沢や甘やかしが入って馬鹿な貴族が生まれたわけ。あ、もちろんまともな貴族も沢山いるよ。沢山いるけど、見栄を張らないといけないのが貴族だからね。一度生まれた風潮はなかなか消せないもんなんだよ。」
「やっぱ貴族って面倒ですね。」
「本当にね。」
「ちなみにですけど、アデラードさんは何人騎士を任命することができるんですか?」
「最低人数の2人だけだね。私は1番下の男爵で領地も持ってないからね。王都に行く際に1人も騎士がいないと面倒だから一応ハラルドが私の騎士って事になってる。」
「あの人、執事じゃなくて騎士なのか。」
「執事だよ。ただ、騎士の称号も持ってるってだけ。」
「どっちにしろ凄い人なのには変わりないですけどね。」
うん。
本当に凄い人だし、かっこいいよね。
俺もあんな風な歳の取り方をしたいものだ。
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