第935話 超有能な人だったっけ…。的なお話

スライムレースがあんなだったし、何より時間が短すぎた。

なんだよ20秒って。

というわけで次のレースにも賭けようと思います!


「次のレースは……ホーンファングの狼レースか。」


そういえば、日本の競馬とかって、何を見て賭ける馬を選んでいたんだろう?

ジョッキー?

それとも人気の高い馬?

うーむ。

分からん。

それが分かれば、今賭ける対象を選ぶ基準になると思うんだけどなぁ……。

って、あれ?

なんかホーンファングを歩かせてる。

あれが次のレースに出てくる奴等なのかな?

でもなんで歩かせてるんだ?

準備運動?

ま、いいや。

えーと、出場するのは10匹ね。

名前は……牙王、狼牙、つのりん、ホーン……よし、俺はつのりんにしようっと。

さっきもちょっと残念な名前にしたら勝てたし今回も残念な名前繋がりでつのりんに決定だ。


そして始まる狼レース。

やっぱり見分けはつかないが、今回はゼッケンをつけている。

俺の選んだつのりんのゼッケンは5番で紫色のやつ。

スライムだとゼッケンすらつけられないんだろうなぁ……。


つのりんは3番手をキープしたまま第1コーナーへ。

今回の狼レースは先程のスライムレースとは違い、外側にある陸上競技のトラックのようなちゃんとしたコースを走るようで、どうやら2周する模様。

第2、第3コーナーも3番手をキープしているが、後ろから猛スピードで追いかけてくる奴がいる。

さっきまで9位だったのに今はもう4位だ。

ヤバイかもしれない。


「負けるなーー!」


意味は無いだろうけど、つい応援してしまう。


「あっ!」


第4コーナーでついに抜かれてしまった。

その後も必死に応援したが、つのりんは残念ながら4位のままゴール。

1位は猛追して来た奴がそのまま掻っ攫ってしまった。

ちなみに、リリンが選んだのがその1位のです。


「くーやーしー。」

「勝った。」


リリンに負けたからというより、最初は3番手という高ポジションでスタートしたのにそこから前に行けずに負けたのが悔しい。

そして、もしもこれで勝てようものならその時は興奮するものだろう。

おまけにお金まで増えて戻ってくるわけで、なるほど日本でおじさん連中が集まるのも分かるというもの。

俺は負けたのでそこまでじゃないけど。


次のレースはトライデントボアの障害物粉砕レースだそうだ。

結構興味を惹かれるけど、ここだけで時間を終わらせるのもどうかと思うし他のゲームをやろう。

蒼井とアカネ、レイダさんはこのままここで次のレースも賭けるみたい。

なのでここで一旦別れてまた後で合流する事に。


「とりあえず1時間後にガチャの所って事で。」

「はーい。」


3人と別れ場所を移動する。

そういえば、カジノだけどアレが無いな。


「アデラードさん、ここってスロットマシンって無いんですか?」

「スロットマシンって何?」

「え、あー、そもそもスロット自体この世界には無いのか。」

「レントのいた所にはあったんだ。それってどんなの?」

「いやまあ、当時は年齢的に入ることが出来なかったし、ゲーセンのはなんか近づきにくかったからあんまり詳しくは無いんですけど、簡単に言うと、ドラム式みたいな感じで中の絵が回転して、それをボタンで止めて、3つ同じ絵柄が揃うとコインが増えるって感じです。」

「ドラム式って……こう、複数の絵が連なってて、それがくるくるって回るって事?」

「そうそう。」


アデルが手で表現してるのがかわいい。

見た目小さいからなおのことかわいい。


「今、何か考えなかった?」

「いいえ何も。」


例によって例の如く鋭い。


「仕組みが分からないからこれまでの転移者転生者は作れなかったのかな?」

「かもね。」


まあ、そもそもどうやって絵柄を回してそれをボタンで止めるかも分からないし、機械制御とかも出来ないからコインの出す量とか制限出来ないだろうし、無理だったんだろうなぁ。


「まあ、出来なくは無いだろうけど、結構めんどそうだね。」

「って、出来るんかい!」


忘れてたけどこの人、超有能な人だったっけ……。

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