第808話 心に傷を負った者が生まれてしまった。的なお話

「ふぅ〜。」


い〜い湯、だ、な♪ っと。

まあ、良いのは湯だけで景観はそこまで良くないんだけどね。

場所が場所だからか、他の客はゴツいおっさん率が高くあんまり見ていたいものじゃない。


というわけで別の物を見よう。

進化した杖術、千変魔杖術についてだ。

ステータスを見ると何故か棒術が無くなっていたが、恐らく千変魔杖術に組み込まれてしまい無くなったのだろう。

そしてその鑑定結果がこれ。


〈千変魔杖術〉

魔力により杖を強化し、様々な姿へと変化する杖術。

(ユニーク)


……………え?

これだけ?

ユニークなんだよね?

もうちょっと、こう……なんか無い?


〈世界初なので〉


わ、久しぶりに出た!?


〈お久しぶりです。千変魔杖術について詳しく説明しましょうか?〉


あれ?

なんかこれまでに比べてすごく親切だ……。


〈暇だったので〉


なんじゃそりゃ!

この前有給休暇がどうのこうのって言ってたけど、これまでずっと休んでたのか?

そりゃ暇にもなるよ!

……でも、凄く助かるので是非。


〈千変魔杖術 魔力を物質化することにより、杖を強化し様々な形状を取ることが出来る。魔力で強化するのを基本形とし、そのまま伸ばせば棒術に、先端を尖らせれば槍に、刃をつければ剣に、他にも斧、鎌、槌、メイス、薙刀と、魔力制御さえしっかりしていれば何にでもなり、千変に相応しいスキルとなっております。魔力制御さえしっかりしていれば〉


何故二回言ったし!?

いや分かってるよ!?

俺の魔力制御がまだまだだって!

ゴーレム戦もぶっちゃけ魔力で覆い先端を尖らせるのが精一杯だったし!

でも、強調する必要はないよね!?


……………反応無しかよ。

はぁ、もういいや。

気にするだけ無駄だし、あと少し浸かったら出よう。


〜リリン視点〜


レントと別れて公衆浴場。

どうせなら噂に聞く混浴なる物もあれば良かったのに。

あったら絶対レントと一緒に入ったのに。


「ん……!」

「うーん、これなら私の方が勝ちかな。」

「何を?」

「いやー、どっちが大きいか気になっちゃって……。」


ランが胸を揉んできた。

確かにまだ私の方が小さいが、私の胸は成長中。

レントに育てられてるから、まだ大きくなる。


「それじゃあね〜。……次はあの子にしようっと。」


私の次はルリエを狙う模様。

あの子も最近少し大きくなってる。

多分ルリエの方が上だろう。

そして、それは案の定。

あちゃーと言いつつ負けてることを認めた。


次のターゲットは誰だろう?

アカネは見れば分かるだろうから狙わないはず。

あ、シアをチラッと見ただけでスルーした。

シアがすごく落ち込んでいる。

種族柄仕方がないとはいえ、すごくかわいそうな雰囲気。

私は心の中で合掌した。


次に選んだのはユウキだ。

勝負はどうやらランの勝ちらしい。

聞いたところによると、日本人はアカネくらいが平均でユウキ程も多いらしい。

だから、負けたとしても仕方がないこと。

あんまり落ち込む必要はない。


自分と同じくらいの後は人はレイダだけかと思っていたが、どうやらもう揉んだ後みたい。

目的が比べることじゃなくて揉むことになってるので間違いない。


先ほどスルーされたシアが揉まれてる。

良かったねと言っていいのかな?

そして事件が起こる。

真っ平らなルナを狙ったのだ。

ルナのは一見真っ平らだけど、その実態はパーティ内でも1番の質量兵器。

ランはその質量兵器に触れてしまった。


「は、え、何これ? どゆこと? そんな……背は小さいのに、どうして? しかも柔らかい……なんで神様はこんなにも理不尽なんだろう……?」


幻術が解け、質量兵器が姿を現わす。

その迫力に、質量に、ランは困惑し、そして絶望した。

また1人、あの質量兵器で心に傷を負った者が生まれてしまった。


ちなみに、あれはすごく柔らかくて反応もいいのでとてもいいもの。

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