第738話 依頼を無事に終了。的なお話

〜アカネ視点〜


「それで、その灼火さんが何の用?」

「なぁに、ちょいと楽しいことでもしようかと思ってよ。」

「へー。例えば?」

「例えば、どこかの生意気なガキ共に現実ってもんを教えるとかな。」

「現実なら痛いほど知ってるけど?」

「本当はちょっと痛い目を見てもらうつもりで軽く噂を流すつもりだったんだけどな〜。どいつもこいつも人のいうことなんて聞きゃしねぇ。あんな仲睦まじい夫婦がそんなはずない。楽しそうにしてる子達の笑顔が嘘なわけないとか……お前ら本当になんなんだよ!? こっちはあのレントとかいうガキが酷え奴だって噂を流そうとしてんのに肉屋のおっちゃんが仲良く歩いてだの、八百屋のおばちゃんが微笑ましそうに見てただの言って笑い出す始末だ。ふざけんなよ!」

「ふざけてるのはどっちよ。レントが何をしたでもないのに八つ当たりなんかして、いい大人が恥ずかしくないの?」

「うるせぇ! だからもうまどろっこしい事はやめにしたんだよ。それに丁度メンバーを半分に分けてくれたしな。さぞかし見ものだろうな。帰ってきた時、仲間が散々犯された挙句奪われた事を知った時の顔は。」

「……おぇっ!」

「ちょっ、ユウキ!?」

「いやだって、あいつら凄いキモいんだもん! 発想とかどこの小悪党だって感じじゃない! それに、あの時のあいつの目見た? すっごいキモかったじゃん!」

「それには同意するけど、今は真面目に聞く時でしょ。」

「無理無理。あんな目見せられてえづくなって方が無理だもん。確かに顔は多少はいいかもしれないけど、レントより下じゃん。その上であの目だよ。そんなのしょうがないじゃん!」

「お、お前ら、バカにすんのもいい加減にしろよ……気が変わった。お前らは犯して犯して、犯してぬいた後ゴブリンの巣に放り込んで女に生まれた事を後悔させてやる!」

「ふーん。やれるもんならやってみなさいよ。ほら、私は逃げも隠れもしないわよ。」


5対6……この人数差はまずいわね。

それに、対人戦というのも問題。

一応模擬戦なんかはやってきてるけど、あくまでそれは訓練。

本気で襲ってくる相手と戦った事なんて数えるほどしかない。

その上相手の方が数が多い。

相手が格下の盗賊ならいざ知らず、曲がりなりにもシルバーランクの冒険者。

ここはまずは人数を同数かそれ以下にするべきよね。


「ほらほら、無防備な相手1人襲えないの? 結局犯すだのなんだの言ってもそんなことのできないヘタレなんだ? まあ、それも仕方ないわよね。そんな目するような男だもの。女の人が相手をするはずないものね。」


さあ、乗ってこい。

乗って、私を犯そうとしなさい。


「この……。」

「なんなら側まで行ってあげようか? ヘタレの童貞君の為に側まで行ってあげようか?」


さあ、来なさい。


「ふざけんじゃねーぞこのアマぁぁぁぁ!」


来た!


「そこまで言うなら仲間の前でおかひょげえぇぇぇぇぇぇ!!!」


掛かった!


「お、お前、リーダーに何をした!?」

「私は何も? でもまあ、か弱い女の子に乱暴を働こうとする人ですもの。天罰でも降ったんでしょう?」

「ふざけるのも大概にしろよ! そんなことあるわけねぇだろうが!」

「ふざけてなんかないわよ。だって私、神様の加護を授かってるもの。ところで、いいの? こっちは戦闘準備出来てるんだけど?」

「なっ!?」


私が誘っている間に、私の意図を察したみんなは既に武器を構え、魔法の準備をし、即座に戦闘できるように構えている。

対して、相手は私に掛かっているお呪いに驚き動揺していてすぐに戦闘出来る状態じゃない。


「さあ、蹂躙の時間よ。」


動揺し、謎の攻撃を恐れている相手は例えばシルバーランクだとしても打倒するのは容易いことだった。

股間を抑えてうずくまる姿は男の人には応えるのだろう。

そう考えると、護るためとはいえこのお呪いが一番のチートな気がして来た。

レントのスキルガチャの奴はすごく微妙な引きばかりだしね。


「さて、これどうしようか?」

「ゴブリンの巣に放り込んでおけばいいんじゃない?」

「いや、流石にそれは……。」


ユウキが意趣返しのつもりなのかもしれないけど、なんとも物騒な事を言い出した。

多分そんな事したら食べられちゃうんじゃないかな?


「無難に人を呼べばよかろう。ちょっと行ってくる。」

「お願いねー。」


それからしばらく。

宣言通りにユキノは衛兵を連れて来た。

その衛兵さん達に事情を説明して灼火の業火達は逮捕され、私達は薬師さんにキノコを納品して依頼を無事に終了。

予想外のこともあったけど、誰1人怪我をすることなく宿に帰ることができた。

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