第619話 明日の探索に期待しよう。的なお話
お昼を済ませ、探索を再開する。
馬鹿な新人達がさっさと出ていったので飯テロも気にしなくて済むからということで、嫁達の手料理をここでも食べれた。
だから気力は十分。
「探索場所はどうする?」
地図を見る限りでは、今いる場所は9階層に行く階段を上にした場合で右下の所。
あの馬鹿新人達の動向が気になるが……まあ、依頼の品がーって言ってたから地上へ向かってるだろ。
「それって拠点をどこにするかって事だよね?」
「まあ、そうだな。」
左下に行くか、右上に行くかで8階層に降りた階段前か9階層への階段前を拠点とするってことになると思う。
最短ルートを突っ切るわけじゃないから時間的にそんくらいしか出来ないだろうし。
とりあえず、8、9階層はくまなく探しつもり。
時間もあるしね。
「うーん。ここは普通に下側でいいんじゃないかな? 左右で分けると移動が大変だろうし。」
「だな。じゃあ、次は左下方面に向けて行くか。」
軽く話して予定を立てたので行動を開始……しなかった。
全部回るつもりなのでその為のルートを考えるから。
非効率なルートは体力と時間の無駄だ。
不必要な所で疲れて、その状態で不測の事態に遭遇なんてのは勘弁願いたいからね。
というわけで、一部の人間が地図とにらめっこし、残った人が周辺警戒。
まあ、ここまだセーフティーエリアなんだけどね。
でも念の為。
そして俺はにらめっこ組。
「最終的な目的地がここになるから、こう……ぐるっと回る感じで。」
「その上で出来る限り回るとしたら……こんな感じかな?」
「あ、ここなんかは先にこっちに行った方が早く済むんじゃない?」
「でもそれだと、ここの所で止まっちゃうんじゃないか?」
「あ、本当だ。となると、こっちは変えなくて、ここを、こう回った方がいいかな。」
「うん。これでいいんじゃないか。」
「そうね。」
「じゃあ、これで。」
にらめっこ組は俺、セフィア、アカネの3人。
20分くらい掛かったかもだけど、余計な行動をして時間と体力を無駄にしない為だ。
先にルートを決めた方が時間がかからなくて済むかもだしな。
というわけで、今度こそ、行動開始だ。
事前に決めたルートに沿って歩いていると魔物と遭遇した。
それはメタルスライム。
鉄粉を取り込んでしまったが為に移動速度が遅くなり、多少防御力が上がったものの元がスライムな為に上昇しても防御力は微妙という、なんとも残念なやつだ。
別段経験値が多く入るわけじゃないので、俺としては見逃してあげたかったんだが……シアが的確に核を射抜いてあっさりと倒してしまった。
すまん、メタルスライム。
部屋状になっているところを覗くが何もない。
と思っていたが、上の方で何やらカサカサという物音がしたのでそっちを見てみると……
………………………はっ!
「あ、あれ? さっきなんかいたような……というか、蒼井達はなんで俺達を羽交い締めにしているのかな?」
「あんた、覚えてないの? 突然天井に向かって魔法をぶっ放したのよ。しかも、その様子を見ていたセフィア達も突然魔法を放つし……本当に何があったのよ!?」
「え? 何って……なんだろう?」
何か見たくないものを見た気がするが……思い出せない。
というか、思い出したらいけない気がする。
何故か魔法をぶっ放したらしいが、謎だ。
ちょっと気になるが、あんまり過去の事にこだわるのも良くない。
という事にして探索を再開。
時折魔物と遭遇する事があるが、残念ながら宝箱とかは見つからない。
こんな浅い階層では大した物は手に入らないだろうが、こういうのは浪漫だからな。
宝箱があるという事に意味がある。
「あ! 宝ば……ってミミックか。」
宝箱は無かった。
でもミミックはいた。
上からドスッとやって戦闘終了。
運良く宝石箱がドロップしたので、以前した約束通りに蒼井に渡す。
ちなみに、俺の宝石箱には少量のアクセサリー類と大量の爪楊枝が入っている。
アクセサリーとか作る時間があんまりないんだよね。
爪楊枝は作った奴をとりあえず入れてたらいっぱいになってた。
そして今日の探索を終え、野営をする予定の8階層に来る階段前へと戻った。
1番の大物は宝石箱だったな。
残念。
明日の探索に期待しよう。
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