第615話 もっと頑張ろう。的なお話

かっこ悪いところを見せたが、それ以外は問題なく、魔石を回収して再び入り直す。

次はルリエの番。


「ファイアウェイブ!」


ルリエがかざした手の先から炎の波が現れ、そのままバーミさんを飲み込む。

炎はすぐに消えたが、そこにはバーミさんの姿も同じように無くなっていた。


「うん。いい感じ。」


派手だし威力はそこそこあるように思える。

範囲も広いから雑魚の掃討には向いていると思うが、簡単に防げると思えてしまうのはなぜだろう?

継続時間が短いからかな?

波が襲った後炎が渦となって魔物を飲み込むというのはどうだろう。

燃やしながら拘束効果も期待できそうだ。

それをそのまま伝えてみた。


「それならそのまま渦でいいと思うんですけど。」

「それもそうだな。」

「でも、それも面白そうなので今度試してみますね。」

「おう。」


次はセフィアだ。

手をかざして集中している。

そこへ突進するバーミさんだが、突然部屋中に風が吹き荒れる。

バーミさんは堪えたようだが、何故かセフィアが尻餅をついていた。

それを好機と見たのかバーミさんが再度突進。

流石に危ないので手を出す。


「大丈夫か?」

「あはは……ちょっと失敗しちゃった。」

「何をしようとしてたのか教えてくれる?」

「本当は風を圧縮して、それを相手の側で指向性を持たせて解放することで風の衝撃砲みたいにしたかったんだけど、上手く制御できなくて暴発させちゃってね。それでボアにはダメージにはならず、僕も風に煽られて転んじゃったの。」

「そっか。ところでさ、こっちの方まで結構強い風が来たんだけど、どんだけ圧縮してたんだ?」

「アデラードさんが決め技がって言ってたから、一撃で倒せるようにって思って、結構魔力を込めた……かな。」

「そうなのか。でも今回みたいになると危ないからまずは転ばせるくらいでいいんじゃないか? それだけでも戦闘をかなり有利に運べるようになるし。」

「そうだね。」


次はルナ。


「スリーピング・フォグ。」


何やら黒い霧のような、靄のようなものが出現し、それがバーミさんが触れると、突然崩れ落ちるようにして眠りについてしまった。

そして焼いてトドメっと。


「凄いな。」

「私は、サキュバスの血を、継いでいるから、こういう、精神干渉系が、割と得意なの。」

「あー、サキュバスって夢魔って言ったりするしな。言われてみれば納得だわ。」


続いてシア。


「みんな、目を閉じて。」

「え? 分かった。」


よく分かんないけど言われた通りに目を閉じる。

でもこれじゃ何をするのか分からないんだけど?


「フラッシュ。」

「プギィッ!?」

「もういいわよ。」


目を開けていいと言われたので目を開けるが、それよりも前に何をしたか分かったな。

フラッシュって言ってたし、目くらましだな。


「シアって光魔法を使えたっけ?」

「全然。でも誰も使えないから覚えたほうがいいかなって思ってね。これでトドメっと。」

「なるほどね。光魔法って回復とかもできるんだよな?」

「そのはずよ。」

「そっか。じゃあ、応援しないとな。まあ、それがなくても応援するけど。」

「ありがと。頑張るわね。」


ユキノ。


「闇刃・影咲。」


突進して来たバーミさんを軽やかに躱し、そのままバーミさんの上に着地すると短刀を突き立てた。

するとバーミさんの内側から無数の漆黒の刃が飛び出し斬り裂く。

その様は黒い花のように見えなくもないけど……えっぐぅ。

食らいたくねー。


最後はアカネ。


焔花ブレイズ・ワークス。」


柳の花火のようにして炎の雨が降り注ぐ。

しかしその炎は決して小さくなく、1発1発が消えることなく全てバーミさんか地面へと着弾し、ドドドッ! という音を立てている。

焔花ブレイズ・ワークスって、花火ファイアーワークスと掛けてるのかね。


ともかく、これで全員回ったわけだが、ちゃんと出来たのって半分くらいか。

みんなに負けないように俺ももっと頑張ろう。

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