第537話 2度あることは3度ある的なお話
リナさんに案内してもらって食材や消耗品等を用意してある場所に案内してもらう。
もらおうと思ったのだが、それらは全部アイテムバッグとアイテムボックス持ちの職員、そしてアデラードさんのアイテムボックスに分割して収納してあるそうで、見れないそうだ。
なので代わりにリストを見せてもらった。
それにはびっしりと色々な名前が書いてあった。
それら全てを確認するのにも一苦労だったが、全部に目を通して感じたのは、さすがは冒険者ギルドということ。
ここにあるだけで十分で足りないものなんかないんじゃないかってレベル。
こういう事に関するデータが蓄積していった結果なのだろうが、凄まじい。
だけど、あくまでも強いてだが、言わせてもらうならば、果物類が少ないかな。
特にバナナ。
バナナがリストに入ってない。
バナナはおやつに含まれないってか?
いやいや、ふざけてるわけじゃないですよー。
本当ですよー。
糖分は頭を働かせるのにも必要だしエネルギーに変わる。
そしてバナナは吸収が早くすぐにエネルギーになるという話なのであった方がいいのでは?
詳しくはないが。
それでも、すぐにエネルギーになるのでなんらかのトラブルに巻き込まれて食事を取るのが難しい時に簡単に食べれるしあった方がいいんじゃないかな?
よし。
バナナを買おう。
まだあるけど、念の為ね。
「ありがとうございました。」
「いえ。必要な事なのですから。明日、頑張ってくださいね。私もここで応援してます。」
「はい。」
バナナを買いに街へと赴く。
なんとなくバナナの叩き売りは無いかと探してしまう。
よくよく考えてみれば、これまでに買ったバナナの半分くらいは叩き売りだった気がする。
「何を探してるの?」
「バナナの叩き売り。」
「え、なんでバナナ?」
「アカネは聞いたことない? バナナは吸収が早くてすぐにエネルギーになるって。」
「ああ。テレビとかで偶に言ってたわね。それにプロスポーツ選手とかも食べてたりするわよね。つまりはそういうこと?」
「そう。何かあった時の為にもあった方がいいかなって。」
「そうなんだ。知らなかった。」
リリンが知らなかったと言うが、これはどちらかと言えば科学の話だ。
魔法がある世界ではどうしても魔法ありきで考えてしまうし、魔法でどうにかなる問題が多い。
地球では魔法がないからこそ、不便を解消するため、困難に立ち向かうため、その為に原因を探求してきた結果多くの真理を見つけてきたのだ。
当然、科学方面の知識量は大きな開きがあるだろう。
だからといってこっちの世界が劣ってるとは思えないけど。
こっちにはこっちの強みがあって良さがあるのだから。
「そうなんだよ。だからリリンはこれで1つ賢くなったな。」
「ん。」
撫でてしまった。
小さいからつい……。
でも、リリンも気持ちよさそうにしてるし問題ないよね。
「あ、レント、バナナの叩き売りやってるよ。」
「ん? お、本当だ。よく見つけたな。ここから結構遠いのに。」
「えへへ。」
セフィアが頭をこっちに向けてくる。
これはアレだね。
撫でてってことだよね?
というわけで撫でる。
よーしよしよし。
「ねぇ、あの叩き売りってまたあれなのかな?」
「いやー、流石にそれはないだろ。だって3度目だぜ。」
またでした。
2度あることは3度あるとは言うが本当だったとは。
今回も仕入れミスで大量にバナナを余らせたそうだ。
どうやら新人にそろそろ仕事を任せてみようということになったのだが、任せ過ぎてテンパってしまいミスをしてしまったそうだ。
「こっちももともと買おうと思ってたし、10房貰おうかな。」
「ありがとうございます!!」
うわ。
泣き出したよ。
ひょっとしてこの人がその新人なのかな?
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