第464話 でもま、仕方ないか。的なお話

「優勝おめでとう。」

「ありがとうございます!」


人がある程度ばらけたタイミングでルリエ達の元へと向かって賞賛の言葉をかける。


「結局優勝してんのな。」

「うるさい。大体、昼にお昼を食べに戻ってる時点で勝つと思わないじゃない。昼も簡単なので済ませてとにかく狩って狩って狩りまくるようなガチ勢がいると思ってたし。」

「確かにな。」


あかねの言いたいこともわかる。

というか、俺もそういう連中がいて勝てないかなとか思ってた。

でも勝っちゃった。


「当然でしょ。こっちには私とユキノが気配察知持ってるし、それにレイダがいるし。」

「あ、うん。そうだな。」


レイダさんがいるというだけで納得できてしまうから不思議。

敵を見つけるたびに率先して倒しにいくレイダさんの姿が目に浮かぶよ。


「とはいえ、せっかく勝ったんだし祝勝会とかしたいよな。」

「いいの!?」

「まあ、めでたいからな。でも、俺今アデラードさんからの依頼があって明日も朝から鍛治作業なんだわ。だからお祝いは明日でいいか?」

「じゃあレント抜きで今日やろ。」

「おい!?」

「冗談に決まってるじゃない。金づるだし。」

「余計悪くなってんじゃねぇか!?」

「あははは。」


ったく。

蒼井のやつは。


「まあ、優姫の冗談は置いといて本当にいいの?」

「いいんだよ。あ、でもアデラードさんには内緒な。酒盛りになっちゃいそうだし。」

「ふふっ。それは確かにあるかもね。」

「で、どこでやりたい?」

「そうね〜、ちょっと高い店がいいかな。騒げそうな所はアデラードさんがいるかもだし。」

「そうだな。その辺はシアとルナに聞いたほうがいいんじゃないか? もしくはリナさんとかエリーナさんとかでもいいと思うぞ。」

「そうね。ちょっと聞いてくるわ。レントはどうせまたこれからグラハム武具店に行くんでしょ。」

「良くわかったな。」

「まあ、なんだかんだで結構一緒にいるからね。」

「そうだな。まあ、そういうわけなんで、俺は戻るわ。」

「了解。2人には言っておくわ。」

「サンキュ。」


グラハム武具店に戻り明日の準備を行う。

前半はどんな武器にするかの構想を練ったり設計図のような簡単なデザイン画を描いたりしていた。

後半は質の悪い金属を使っての練習だった。

使えそうな時間は1時間ちょいだし、出来るのは素材の精錬くらいか。

グラハムさんから買った鉱石から不純物を取り除いている内に1時間が経った。

今日はここまでだな。


「それじゃグラハムさん、俺はこれで。明日も今日と同じくらいの時間に来ますね。」

「分かった。」


宿へと帰るとアデラードさんがいたりして。

なんて、流石にそれはないよね。

完徹だって言ってたし流石に今日は休んでるよね。


………………いたよ。


「あの、なんでいるんですか?」

「ん? だって弟子が勝ったんだよ。そりゃ祝いに来るでしょ。」


理由を聞いて納得。

この人なら絶対に来るよ、そりゃ。

祝勝会、明日にしてよかった。


「というわけで、飲もう!」

「はぁ〜。おめでたいから多少はいいですけど、無理に飲ましたら駄目ですからね。後、俺は明日のことがあるんで早めに寝ますからね。」

「は〜い。」


本当は今夜もそういう事をしたかったんだけどな。

でもま、仕方ないか。

師匠が祝ってくれるんだから。


夕飯を食べ、部屋で飲んでいるといつの間にか12時くらいになっていた。

うわ。

これ以上は明日に響くよ。

というわけで早めに寝かせてもらおうと思ってアデラードさんに声をかけたが返事はなく、良く見てみればアデラードさんはとっくに寝ていた。

完徹の状態で酒なんて入ればそりゃ寝るよね。

全く。

疲れてるなら素直に休んでいればいいのに……でも、祝いに来てくれたのは嬉しいよね。

しょうがないから部屋に寝かせて置いてあげた。

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