第439話 笑顔は大事だ。的なお話
型を作った翌日。
スッキリした気分でグラハムさんのところに向かう。
削れた理性は嫁達によって元に戻った。
グラハムさんのところでは大まかな形を作るだけで仕上げはレイランの庭でやらせてもらう。
流石に、ユキノのバストサイズで作った型を大勢の前で使うのはユキノがかわいそうだし。
金属を打つ音に関しても、アリシアさんの魔道具で遮らるという事でちゃんと許可は取った。
「ほぅ。防具を作るつもりだったのか。前のはよくわからん皿かなんかを作ってると思ったぞ。」
「それはちょっと酷くないですか?」
「そうは言うがな、これまでにここで作った物を挙げてみろ。それが答えだ。」
「否定できません。」
武器防具の類は作ったことはなく、アクセサリーにフライパンに鍋に包丁。
あの形なら食器を作ってると思う方が普通か。
「だが、それでは防御力が足りないんじゃないか? 小さすぎるし。」
「確かに……でも、装備をするのはスピード主体なのであまり重くなりすぎるのもどうかと思って。」
現在俺が作っているのはビキニアーマーのような、胸だけを覆う形だ。
胸を守りつつ軽量化を考えたらこうなった。
ちょっとヤラシイ気もするけど。
「それにそれでは中央部の防御力が無さすぎる。冒険者って言っても魔物だけと戦うわけじゃない。時には対人戦闘も行う。魔物の中にも斬撃武器を使う者もいる。それなのにそれじゃ袈裟斬りされてバッサリなんてこともあるかもしれないぞ。」
「確かにそうですね。これまでにも何度か盗賊と戦うことがありした。」
「だろ。軽量化を図るのを止める気はないが、それでも必要最低限心臓周りを守れるようにしておけ。」
「分かりました。アドバイスありがとうございました。」
「いいってことよ。」
グラハムさんの意見に納得した俺は形から見直すことにした。
そしてひょうたんのような形にすることにした。
別に不特定多数に向けて作ってるわけじゃないから形を洗練する必要はない。
目指すのは豪華絢爛ではなく質実剛健だ。
ひたすらに槌を振り形を作っていく。
誰がつけるかわからないように、後で調整する余地を残すために大きめに作っていくが、どうもそれが気になるようでグラハムさんが後ろから覗いてくる。
「あの、気になるんですけど、何か?」
「いや、オメェんところにそんなデカいヤツいたかなって思ってな。」
「どこ気にしてんですか!?」
「でも、大事なことだろう? 防具を作る以上はちゃんと合わせないとダメだしな。あ、ひょっとして新しい女か?」
「んなわけないでしょ!!!!」
「うおっ!? なんだよ。そんな怒んなよ。」
「今きっちりサイズ合わせて作ったら胸のサイズまでバレるじゃないですか。そんなの可哀想だからここでは大まかに作って後で調整するんですよ。」
「なんだよ。そういうお前はサイズを知ってんのな? で、誰なんだ? 嫁さんの誰かか? それとも、別の……」
「奥さんに言いますよ? よその女の胸のサイズをすごく気にしてたって。」
「ちょっ!? そ、それだけは勘弁してくれ! 俺が殺されちまう!」
「じゃあ、これ以上気にしないでくださいね?」
笑顔は大事だ。
そして、こういう時には威嚇になるのだ。
「お、おう。」
グラハムさんが気にしてこなくなったのでさっさと仕上げる。
自然に冷めるのを待ってからストレージにしまってレイランに向かう。
そこで型に合わせて調整していく。
型には鎖帷子を着させている。
この鎖帷子はユキノに借りた。
仕事中は鎖帷子を着ているから着させた状態で合わせないと意味ないからな。
サイズを合わせたら焼き入れと焼き戻し。
これはグラハムさんのところではできないしな。
焼き戻しが終わったら焼き入れによって生じた歪みを調整して完成だ。
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