第411話 発案者ですし的なお話
朝となってふと気付く。
そういえば、全然訓練してなくね、と。
このままだとまずい!
アデラードさんが手加減を少し緩めるだけで地獄を見る!
そうならないためにもきちんとやっとかないと……
一応魔力操作の訓練は朝晩やってはいたけど、それしかやっていない。
それどころかここんところ全くと言っていいほど剣を握っていない。
槌は握ってたけど。
「そういうわけなんで、依頼を俺メインでやらせてくれない?」
みんなにその辺のことを伝えてお願いしてみる。
訓練場で模擬戦とかだとふらっとアデラードさんがやってこないとも限らない。
というか、絶対やって来る。
だから、模擬戦は無しだ。
バレたら大変なことになるから。
「言われてみれば確かにここ数日はずっとグラハム武具店に篭ってたね。そういう事なら分かったよ。」
「ん。優先する。」
みんなにも理解してもらえたので早速依頼を見に行った。
「あれ、なんか少なくない?」
「え、本当だ。なんでだろう?」
「EランクとCランクが少ない。」
「言われてみれば確かに……って、あー。そういう事か。」
「どういう事?」
「ほら、前にアデラードさんとリナさんと話してたじゃん。多分あれに使う魔物を狩られないようにしてるんじゃないかな。」
「あ、そういう事。って事はCとEが最初にやるって事かな。」
「多分そうなるんじゃないかな。でも、そうなるとちょっと困ったな。」
「確かに、そうなるとちょっと手頃な相手がいないって事だものね。」
Bランクだと1人じゃ流石に危ない……というか勝てるか分からない。
かといってDランクだと余裕すぎる。
一応ステータス半減させる指輪があるけどそれだと慣れてない現状では危ない。
「でも、ダンジョンの方も時間的に問題があるよね。」
「あれ、そんなのあったっけ?」
蒼井よ、その時お前もいただろうに……
「あれだよ。シアの防具。そろそろ出来る頃だからな。」
「そっか。そういえばそうだった。」
うーん。
どうしよう。
…………仕方ない。
とりあえずDランクの依頼でも受けるか。
依頼の内容がDランクの魔物だからってDランクの魔物しか倒しちゃいけないわけじゃないしな。
率先して他の魔物を倒すのはあまり良くないと思うが、今回は大目に見てもらおう。
だって俺の未来がかかってるからな。
適当に選んだ依頼書を持って受付……リナさんのところに持っていく。
「あ、レントさん! お久しぶりです。4日ぶりくらいですか?」
「お久しぶりですってほどでもないと思うんだけど……」
「でも、セフィアさん達はいつも来てましたよ。」
「あー。その時はずっとグラハム武具店に篭ってました。」
「え、篭ってたって何してたんですか?」
「いや、鍛冶が出来るんで包丁とか打ってました。」
「へー。レントさんって多才なんですね。」
そんな風に言われたのは初めてだな。
でも、元が唯の相槌スキルから派生進化した物で尚且つ鍛冶なんて一回もやってないのに増えたんだよね。
だから、本当に多才かと言われると……でも、頑張って出来るようになったんだし、褒められるのは嬉しいな。
「それで、依頼なんですけど。」
「あ、Dランク……ありがとうございます。気を使っていただいて。」
「いえ、まあ、一応発案者なんで。」
「それで、例のアレなんですけど、2週間後を予定しています。確かルリエさん、レイダさん、ユウキさん、エルナさん、ユキノさんはCランク。そしてアカネさんとアレクシアさんはC+ランクでしたよね?」
「そうですけど……もしかして……」
「はい。ぜひ参加してもらいたいと思っています。それと、レントさんセフィアさん、リリンさんには当日にお仕事を頼みたいと思っているんです。その辺のことはもう少し経ってから話させていただきますね。あまり情報を漏らすわけにもいかないので。」
「分かりました。発案者ですし、出来る限り手伝わせてもらいます。」
「ありがとうございます。では、依頼の受注をさせていただきますね。」
「お願いします。」
なんかよくわかんないうちにイベントの手伝いをすることになったけど、それはまあ、成るように成るさ。
そして依頼に赴いたけどシア達が参加することになりそうなんでCランクの魔物を狩るのはあまり良くないんで、たまたま遭遇したクマさん以外は狩ることなく、訓練をした。
あまり訓練にはならなかったけど。
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