第404話 新生エルナ的なお話

スープを飲み終え、3人が食べ終わるのを待つ傍、謎の声について考える。

あの声はえーと、スキルを取得したり、新技を開発したりすると偶に現れるんだよな。

その事から考えられるのは世界の意思とかそういうのだけど、みんなは聞いた事ないから違うんだろうなぁ〜。

つまり、現状では俺だけがその声を聞いているということになる。

それはつまり俺だけを対象にしているということだ。

となると……アリシアさんが関係してるってことだよね。

考えられる原因としてはスキルかこの身体だよな。

ということはあの声はアリシアさんが憑けた眷属のものだ!

…………………断言してみれば何らかの反応が返ってくるかもと思ったんだけど、何もないな。

やっぱりそう簡単に尻尾は出さないか。

別段何かに困ってるわけじゃないし、まあ、いっか。


3人が食べ終わったので、この後のことを話し合う。

シアとルナは俺と一緒に依頼が受けたいとのことで午後も依頼を受けようと主張し、そこにレイダさんも乗っかってきた。

レイダさんはまだ戦いんですか……

でも、流石にもう依頼は残ってないと思うんだよね。

受付で確認してみれば案の定。

レイダさんががっかりしている。

シアとルナはそんなレイダさんよりもがっかりしてる。

彼氏冥利に尽きるとは思うけど、そんなに良いものかな?

まあ、今後はそんな機会ないと思えば……ちょっと残念な気もする、かな?

とはいえ、それは俺にはどうしようもないわけで、気を取り直して相談を再開しようと思う。


「というわけなんで、改めて、どうする? 俺としてはルナの装備も新調したほうがいいと思うけど、どうかな?」

「わ、私の?」

「そう。ほら、シアも変えるし丁度いいかなって思ってさ。後、食材とか買い足しときたいなと思っててさ。」

「いいんじゃない? 私と一緒で装備にガタが来始めてるしね。」

「みんなもいいかな?」

「いいと思うよ。それで、どんなのがいいかな? 後衛だし多少動きづらくても問題ないし、防御能力が高いのがいいよね。」

「俺としてはローブがいいかなと思ってる。とんがり帽子もつけたらきっとかわいいと思うんだよ。」

「うーん。確かに似合いそうかも。よし。買いに行こう。」

「え、今から……?」

「そりゃそうでしょ。選ぶ時間もあるし、善は急げという言葉もあるしね。」


シアに引っ張られながらルナが連れ出され、俺たちもそのあとを追ってギルドを後にする。

そしてギルド近くにある大きめの布製品を取り扱っているお店に。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」

「えと、この子にローブを買おうかなって。冒険者なので、防御力が高いのがいいんですけど、大丈夫ですかね?」

「はい。大丈夫ですよ。それで、ランクは幾つでしょうか?」

「えーと、Cだよな?」

「う、うん。そうだよ。」

「Cランクですね。それでは、いくつか見繕ってきますけど何かご要望はありますか?」

「えと、ダンジョンに潜ったりもしますので、通気性が良くて、あと、とびっきり可愛くなるのをお願いします!」

「ちょっ、レント…」

「くすっ。わかりました。お客様がとびっきり可愛くなるのをお持ちしますね。」


そう言って店員さんはローブを持ちにいってくれた。


「レント、なんで、あんなこと、言ったの!?」

「いや、つい。」

「……ばか。」


待つこと数分。

店員さんが戻ってきて、その手にはいくつかのローブと思しき物が。


「お客様にはこちらの品がよろしいかと。3つとも防御力がそれなりに高く、各種魔法耐性に毒耐性に麻痺耐性が付与されております。そして何より、派手さはないものの品の良い刺繍が入っており、小柄で可愛らしいお客様には大変お似合いかと。」

「試着してもいいですか?」

「はい。では、こちらに。」


姿見の前に案内してもらい、試着する。

3つとも似合っているけど、3番目のが一番かわいいかな。

その事をルナに伝えると。


「えと、それじゃ、これに、しよう、かな。」


ルナも決めたようなので、店員さんを呼んでこのローブに会う帽子も見繕ってもらった。

そして生まれた新生エルナ。

すごくかわいい!

店員さんにお礼を言ってお代を支払った。

結構したけど、かわいいしなんの問題もないな。


そしてルナに見惚れつつ食材を買ってから宿に帰った。

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