第389話 空回りしすぎでしょ。的なお話
「う、うぅ〜ん。あ、アデラードさ……って近っ!」
何があったのか分からないが、いつの間にかアデラードさんに膝枕されている。
本当に何があったんだ!?
というかどういう状況!?
「あ、起きた?」
「あの、これって一体どういう状況なんですか?」
「私の一撃で気を失ったから膝枕してたんだよ。」
「何故そこで膝枕?」
「いや、そのままだと頭痛いかと思って。」
「それは、えと、ありがとうございます。」
「まだ目覚めたばっかだからそのまま聞いてね。」
「?」
「さっきの模擬戦なんだけど、まず、攻撃がわかりやすすぎ。あの荒さから多分独学なんだろうけど、それは別にいいんだよ。攻撃の鋭さは素晴らしいからね。でもあの太刀筋は対人戦を考慮してないよね? 魔物相手なら問題ないけど、人、それもある程度対人戦に慣れていると丸わかりなんだよね。冒険者といっても魔物だけと戦うわけじゃない。時には盗賊と戦ったりするだろうし、なんらかの紛争に巻き込まれるかもしれない。その時にそんなんでアレクシアを護れると言える? それに武器が良すぎる。前にちらっと見たけど、あれ、相当の業物だよね。あれと君のステータスがあれば簡単に倒せて技術を磨く必要がなくなってしまってるんだと思う。」
ぐうの音も出ない。
正直にいって、それは俺も感じていた。
外に魔物を倒しにいっても、浅いとはいえダンジョンに行こうとも危機感を感じたことはほとんどない。
せいぜい、何時ぞやのオークキング亜種とオーガロード異常種の時くらいだろう。
模擬戦でも怪我しないようにと一撃入れるか武器を失ったら負けというルールにしているから、必死さに欠ける。
その辺も影響していると思う。
「それで、どうする? 強くなりたい?」
「そりゃ、強くなりたいですよ!」
「あぁ、まだ起きちゃダメだよ。落ち着いて。それでさ、私の弟子になる気、ある?」
「はい?」
「だから、弟子だよ弟子。」
「いや、それは分かりますけど、なんで急に?」
「いや〜、本当いうと、実はずっと言おうと思ってたんだよね。はとこの恋人だし、アレクシアの事を護ってもらいたいなって思ってたんだけど、なんか、あんな感じになっちゃって……」
「ぷっ……あははははははは! 空回りしすぎでしょ! あははははは! …なります。弟子にして下さい。」
「むー。ま、いいや。もう少し経ったらコレつけて。」
「指輪?」
そう言って出してきたのは指輪だった。
それも一つだけではなく五つも、だ。
アイテム鑑定を使ってみるとどうやらこれは呪いのアイテムっぽい。
具体的には能力が低下するらしい。
例としてはこんな感じ。
ー攻半の指輪ー
ATKが下がる。
まだ鑑定のレベルが低くてどの程度下がるのか分からないけど、名前から考えて多分半減するんだろうな〜。
「それらは全部ステータスを半減させる効果があるからね。戦闘中は基本的にそれを使って。武器も基本的な鉄の剣で。それとは別に今日は魔力操作の練習しようか。」
「魔力操作?」
「そ。魔力による身体強化って出来ないよね? さっきも使ってなかったし。」
「まあ、使えませんけど…」
「というわけでまずはそこからね。これができると出来ないじゃかなり違ってくるし。」
「あの、どうせならウチの連中も教えてくれません? もちろん本人達が望んだ場合は、ですけど。」
「そうだね。1人だけってのもさみしいもんね。」
それもあるけど、1人だけ突出するのも良くないからね。
そこまで強くなれるか分からないけど。
「じゃ、始めるよ。」
「はい!」
まず、セフィアとも最初にやった魔力を感じるところから始める。
魔力を感じたらそれを全身に巡らせて魔力で体をコーティングするイメージをする。
しかし、そう簡単に出来たら誰も苦労しないというもので、お昼時になってもまともにできることはなかった。
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