第352話 綺麗だなって……的なお話
「うぅ〜、頭痛い。」
「あんなに飲むからよ。」
お祝いをした翌日。
ユキノが体調不良を訴え、それに対してシアがツッコむ。
まあ、体調不良というかただの飲み過ぎなんだけどね。
というかいつの間に酒なんて頼んだのやら。
俺達はちょっとアレな酔い方する奴が何人かいるもんだから基本的に外で飲むようなことはない。
そこまで酔ってるようには見えなかったんだけど、帰った後も飲んでたのかな?
「えーと、とりあえず今日も休みってことでいいかな?」
「そ、それでいい。というか、頼む。」
「あ、うん。」
というわけで今日もお休みです。
さて。
休みとなったけど突然のことだし何をしようかなって思ってたらレイダさんがまた武器を持って外に出ようとしている。
「ちょっ、レイダさん! また依頼ですか!?」
「はい。そのつもりですが……」
「却下! 明日は仕事する予定なんだし今日はちゃんと休む! それにレイダさんの槍はメンテ出来てないんだから。ほら、早く渡して。」
「はい……分かりました。」
しぶしぶといった雰囲気を隠すことなく渡してくるレイダさん。
いや、ちゃんと手入れはしてるんだろうけどそれでも定期的にみといたほうがいいんだからそんな顔しないでくれ。
「そんな顔しないで。戦闘中に破損なりして隙が出来て怪我するかもしれないんだからちゃんと整備しとかないと。せっかく綺麗に生まれたんだから。」
「なっ!? わ、わわ、私が、綺麗!? い、いきなり何を!?」
「いや、その、レイダさんって手足がスラっとしてて、それに凛とした雰囲気がかっこよくて、その、綺麗だなって………えと、槍のメンテ! そう! 槍のメンテするから、それじゃ!」
やばいやばい!
いきなり何言ってんだ、俺!?
綺麗だって思ってるのは間違いじゃないけど、でもなんであんなこと言ったんだよ!
やばい。
恥ずかしい。
今絶対顔赤くなってるよ。
うぅ。
落ち着け、落ち着け俺。
こんな乱れた精神ではちゃんと出来ない。
落ち着かないと……
〜レイダ視点〜
び、びっくりしました。
ご主人様が突然あんなこと言うなんて………
(せっかく綺麗に生まれたんだから)
うわわ、な、何を思い出しているんですか、私は!
こんな乱れた心では仕事に支障が出ます。
落ち着かなくては……って、その仕事をしてはいけないんでした。
いや、普通なら休みなんてあるはずがないのに休ませてもらえるのだからありがたく思うべきなのでしょう。
何故なら私は奴隷なのだから。
ご主人様や奥方様方、それにアカネやユウキ達も奴隷とから関係なしに接してくれるのは嬉しく思いますが………何故でしょう、奴隷だということを考えると胸が痛みます。
これはどういうことなのでしょうか?
これはもしや………いえ、それはありえません。
私は奴隷。
そのようなこと、あるはずがありません。
きっと気の迷いです。
そう。
私は奴隷なのですから。
………仕事をしましょう。
奴隷としての仕事を。
ユキノさんが体調不良なのですからそのお世話をしましょう。
きっとアレクシア様やエルナ様が介抱をしているはずです。
ユキノさんは冒険者仲間なだけでお世話をしなければいけない理由はないですが、お二人はご主人様の恋人でいずれは奥方様となるのですから手伝うのはなんらおかしなことではないでしょう。
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