第234話 リリン無双的なお話

「なんでそっちにいるんですか、レウィンさん。」

「う、うるさい。セフィアは俺の天使。誰にもやるもんか!」


親バカ、いやバカ親か。

まあ、いいや。

一緒に懲らしめてあげよう。

子供は親の物ではなく、本人の物、そしてセフィアは俺の物だって事を教えてあげる。


「誰からやる?」


そんな事を考えている間にリリンが前に出てて、相手を誘っている。

あれ?

俺が挑まれたはずでは?

それに誰からって一対一じゃないの、普通。

まあ、なんか人が増えていたしその可能性は俺も考えていたけどさ、それを最初から認めるのはどうかと思うよ。


「私だ!」


まず最初に出てきたのも女の子だ。

狸人族ではなく、狐人族の少女。

というか、狸人のセフィアの親衛隊になんで狐人さんがいるんだろう。

この世界では敵対関係とかじゃないのかな。

ちなみに、地球では狸も狐もどちらも同じイヌ科だ。


そして開始される決闘。

決闘とは言っているけど使っているのは木製の武器だ。

街中で刃傷沙汰はマズイから。

しかし、あの子凄いな。

多分EかDくらいあるかも。

いや、胸じゃないよ。

冒険者ランクで考えた場合って意味。

と言ってもそれっぽっちじゃあ、リリンには勝つ事はできない。

俺だってまだ全然勝てないんだから。

勝率で言えば1割あるか無いかだし、セフィアですら多分3割あれば良い方だろう。

ちなみに俺のセフィアに対する勝率は大体3割くらいだ。

…………もっと頑張ろう。

そんな事を考えているうちに狐人族の子が倒された。

リリンは全然本気じゃ無いのに。


「ふぐぅ〜。なんで勝てないの。15になったらセフィアちゃんと一緒に冒険者になろうと思って鍛えたのに……」


それであの強さか。

才能あるかもね。

と、ふとここで一つ気になる事ができた。

それをセフィアに聞く。


「そういえば、なんで此処じゃなくてカインで冒険者になろうと思ったんだ?」

「此処だと甘えが出るかと思ったんだよ。親がいて、兄弟がいて、知り合いがいる所だと、心の何処かで甘えが生まれると思って、だから知ってる人がいない所でやって行こうって思ったんだ。」

「そっか。」


そんな話をしてるうちもリリンは親衛隊を相手に無双している。

そうして13人倒した所でルリエを名指しして交代した。


交代したルリエも連勝をしている。

リリンよりかは時間が掛かっているが怪我する事なく倒していっている。

順調だな。

ん?

なんか、心なしか敵の強さが少し上がっている気がする。

ちょっとルリエも疲れてきてるみたいだしそろそろ俺が行こうかな。

ルリエが倒したのは7人。

一昔前なら考えられなかっただろうが、強くなったなぁ。

やっぱり、元Sランク冒険者の子供だけあって才能があるんだな。

俺、嫉妬しちゃいそう。


「ルリエ、交代だ。」

「分かりました。」


嫁達がこんなに頑張っているんだし、俺も良い所見せないとな。

それに嫁におんぶに抱っこなんて恥ずかしいし。


残り11人。

頑張るか。

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