第218話 仕方なかったよ。的なお話


「なんだあいつ。女ばっかり侍らせやがって。ムカつくなあ。」


違った。

やっぱ同業者みたい。

だってラビットを紐でくくってぶら下げてるもん。

あれ普通に美味しいから持って帰る途中みたいだ。

というか小さな悪意って嫉妬かよ。

…………ごめん。嫉妬されても仕方なかったよ。

よくよく考えてみればセフィアもリリンもルリエも可愛いし、アカネも蒼井もルックスはいいし、レイダさんは目がつり目で凛っ! って感じで人によっては恐いという印象を受けるだろうけど、かっこよくて綺麗だしそうなるのも仕方なかった。


とか思っていたら周囲を囲う強い悪意を感知した。

どうやらそれはリリンと蒼井も察知したようで手で数を教えてくれる。

数は28。

俺の方でも同じ数だ。

即座に警戒する俺達だが、それが良くなかったのか一気に近づいてきて全員が姿を現した。


「頭。あいつですぜ。あの茶髪の女。」

「おお、そうか。って事は残りの奴らはどうでもいいって事になるが、結構な上玉揃いじゃねぇか。よし、野郎ども! ターゲットはあの茶髪だ。そいつ以外は好きにしていいって話だし、全員とっ捕まえてこい! ああ、男はいらねぇから殺していいぞ。」


うーん。

あの同業者さん達、ビビって腰抜かしてるぞ。

うさぎ持ってたしランクは低いのかな?

邪魔にならないといいけど。


ここの所ガチで頑張ってきた。

一日中狩りをしたり、模擬戦をしたりしてきた。

その甲斐あってステータスは上がっているしルリエ達もCランクに匹敵する程度にはレベルが上がっている。

それにレイダさんが見たところ盗賊なのかゴロツキなのかは分からないが、奴らの強さはCランク程度が七人、残りはDランク程度とのこと。

盗賊の頭はレイダさんでは倒せない強さだそうだが、俺、セフィア、リリン、アカネは頭より上らしい。

そして、頭は高みの見物を決め込んでいる。

負ける気がしないな。


俺、セフィア、リリン、アカネがCランク程度の奴らを狙い、三人には無茶しないようにDランクの方の相手をしてもらう。

とはいえ多対一だと危険なので三人は離れずに戦ってもらおう。


「飛閃!」


放たれた斬撃で二人の盗賊の上半身と下半身が永遠のお別れをした………リリンの手によって。

向こうから襲ってきたんだけど、容赦ないな〜。

まあ、セフィアを狙う奴相手に手加減する必要もないし、俺も頑張るか。


「草結び! からの跳ね斬り。こいつはオマケ!」


目の前の奴に対して草結びで拘束をして跳ね斬りで右半身と左半身をバイバイさせた。

そして跳び上がった状態から体をひねりながら飛閃を放ち近くにいた奴を倒す。

ストっと着地してルリエ達の方を確認すると、レイダさんが敵を寄せ付けず……というかどんどん倒していき、レイダさんの陰に隠れながら蒼井がどんどん狙撃し、二人に後ろから近づいてきていた奴をルリエが倒している。


気づけば残りはほんの数人になっており、辺りには死体に、重傷者に、蟻塚オン生首(まだ生きてる)が転がっている。


「な、な、な……そんな、馬鹿な。こっちは28人もいたんだぞ。それが、こんな……」


ギルドカードを確認するときっちりと盗賊と書いてある。

うん。

犯罪者になってないな。


「さて、どうして俺達を襲ったのかな? それにセフィアを特別視してたし、その辺のことを教えてくれないかな?」


さて、恐らく馬鹿の手先だろうけど、一応聞いとかないとね。

別に楽しんでなんかないぞ。

漫画とかでよくあるシチュだけど。

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