第137話 結構釣れます。的なお話

ルリエが魔物を倒せるように俺達もサポートしつつ探索していく。

関係ないゴブリンやオークなどは俺とセフィア、リリンが間引き、ラットやラビットなんかの依頼の魔物はルリエ達に回していく。

そうして街を出てから三時間。

ルリエ達の依頼を無事に終えることが出来た。


ルリエ達の依頼が終わったということはつまり、これから釣りということだ。

釣りなんて数えるほどしかしたことなかったけど、大丈夫かな?

でも、こういうのは神のみぞ知るって奴だからね。

……アリシアさんは知ってるのかな?

ふとそんなことを思ってしまった。


無駄なことを考えてしまったが、それでもみんなと一緒に川へと向かっていく。

そうして歩くこと三十分。

普段行く森と逆のところに位置する、林の中の川に辿り着く。

水が綺麗だな。


早速釣りを……と思ってしまいそうだが、そろそろお昼の時間なので先ずは腹ごしらえだ。

みんなで作ってくれたお昼の入っているバスケットを取り出して開ける。

中には様々なサンドウィッチにスープの入った鍋にカットフルーツの入った容器が入っている。

それらを取り分けてみんなで食べる。

ピクニックみたいでなんか楽しいな。



デザートのカットフルーツも頂いたことだし釣りでもしますか。

あ、カットフルーツの中には例のオマケのオレンジ色の果実も入っていたよ。

りんごの食感に梨の甘さが混ざった美味しい果物でした。


そんで、釣りなんだけど……餌はどうしよう。

どこで買えばいいか分からなかったんだよね。

疑似餌を今から作るのは流石に時間がかかるし……、ミミズとかいないかな?

そう思ってそこら辺の石の下なんかを探してみるがいるのは無駄にトゲトゲしたダンゴムシっぽいのだけだった。

しょうがない。

買い置きしてある焼き鳥でも使うか。

後で補充しとかないな。


これで釣れるのかと疑問に思いつつ糸を垂らすこと十分。

釣り竿が反応し引き上げてみると四十センチくらいの鮎っぽい魚が釣れた。

異世界の川魚デカっ!

その後も入れ食いとは言い難いがそれでも適度な時間で釣れていく。

竿は三本しかないので交代しながら釣るけど、みんなも釣ることが出来て楽しんだ。


そんな楽しい雰囲気の中、招かれざる客がやって来た。

そいつは枝をへし折りながら現れる。

大きな身体に逞しい手足を持つ熊だった。


「クリムゾンベア。」

「リリン知ってるのか?」

「ん。あれは太い腕と強靭な爪で敵を切り裂く。その時に返り血を浴びて真っ赤になるからクリムゾンって言う。」

「ランクは?」

「C。」

「そうか。アカネとレイダさんはルリエを護っててくれ。あいつは俺とセフィアとリリンで倒す。」

「ん。」

「お願いね。」


「分かったわ。」

「かしこまりました。」

「気をつけて。」


俺達は武器を構える。


先ずは俺が飛び出し、上段から唐竹を叩き込むが、それは左に躱される。

しかし、それは元から想定内。

俺の左右から挟撃する形で走っていた二人、その左側にいたセフィアが双剣での二連撃を叩き込む。


その攻撃を受けた熊はセフィアの方を向くがその隙を見逃すはずもなく俺とリリンは即座にアーツをそれぞれ放つ。

奴が怯んだところでその場を離れセフィア達と合流して、魔法を使う。


俺が草結びを、セフィアがアースピラーを、リリンがアクアランスを。


三人の魔法を組み合わせて放つ協力魔法、封縛槍牙バインディング・クロスピアーズ


この魔法でクリムゾンベアを倒した。


「「「…すごい。」」」


ルリエ達三人が異口同音でそう呟いていた。


ルリエにカッコいいところ見せれてよかった〜。

何気に初めて使ったんだよね、これ。

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