第133話 若い夫婦です。的なお話
シャーコーシャーコー
セフィアとリリンの武器を研いでいて、今は三本目だ。
なぜ三本なのかはセフィアのが双剣だからだ。
シャーコーシャーコー
研ぎ終わったので軽く振ってみる。
よし。
「終わったー。」
双剣を鞘にしまって俺は地面に転がる。
ちょっと汚れるかもとは思ったけど、ちょうど良い疲労感と横になった時の「あ〜。」っていう感じが心地良い。
この後どうしよう。
手足を伸ばして空を眺めながら、ぼんやりとそんな事を考えているとセフィアがやってきた。
「お疲れ様、レント。」
「セフィア、パンツ見えてる。」
「えっ!? キャアッ! ……えっち。」
「ご、ごめん。」
「………………。」
「………………。」
「そ、それでセフィアはどうしたんだ?」
「あっ。えっと、僕これから晩ごはんの食材を買いに行くんだけど一緒にどうかなって。」
「僕? リリン達は?」
「ルリエちゃんとアカネ達は冒険者登録してそのまま訓練するって。リリンはその付き添い。」
「なんでまたルリエは冒険者になろうと思ったんだろう?」
「ある程度のLVまで上げたいからついでに登録しようと思ったんだって。」
「ついでに登録って……。俺たちはなりたくてなったのにな。」
「あはは……。まあ、それは人それぞれだよね。」
「まあね。じゃあ、行くか。」
「行くって?」
「買い物。その為に呼びに来たんだろ?」
「あ、そうだったね。」
「今片付けるからちょっと待ってて。」
「うん。」
魔道具をストレージにしまう。
鍛治道具は炉の火を消してからだ。
「じゃあ、行くか。」
「うん。」
◇
セフィアと一緒に街へとくり出す。
「セフィアと二人だけってのも久しぶりだな。」
「そうだね。いつ以来だっけ?」
「えーと、魔法の使い方を教わった時だったと思うから……多分三ヶ月ぶり?」
「その時からリリンと一緒だったもんね。」
「そうだな。あの時は本当に驚いたよ。人ごみかき分けたらクルトがボロ雑巾みたいになってて、変なおっさんがいて、知らない子とセフィアが一緒に居たんだから。」
「あはは……。でも、あの時のレントはカッコ良かったよ。」
「それは、その、ありがと。」
「えへへ。どういたしまして。……あ、そこの八百屋に寄るよ。」
「おう。」
セフィアにカッコいいと言われた。
マジで超嬉しい。
「これとこれと、後はこれも。……うーん。これはちょっと高いかな。あ、これも丁度切れてたんだっけ。」
セフィアが品定めしながら野菜を選んでいく。
しかし、これはなかなかいいな。
なんか奥さんと一緒に食材を買うのが夫婦感があって。
「随分と可愛い恋人だねぇ。」
そんな事を思っていると八百屋のおっちゃんがこんな事を言ってきた。
全く。失礼な人だな。
なので文句を言う。
「恋人じゃありません! 嫁です!」
「ちょっ、レント。恥ずかしいよ。」
「えっ? あ。」
周りを見てみればなんか奥様方やおっちゃんに微笑ましい感じの目で見られている。
だから俺とセフィアは顔を赤くしながら会計を済ます。
恥ずい。
商品を受け取る際に、これは良いもん見れたからサービスだ。と言ってりんごっぽいオレンジ色の果物を渡してきた。
未だに顔を赤くしている俺たちはそそくさと足早に八百屋を去る。
その後も肉屋や調味料を売っている店なんかで買い物をした。
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