第104話 雇用契約と賃貸契約的なお話

昨日昼寝したからか、はたまた夜営で睡眠時間が短かったからか、いつもよりも早く目が覚めてしまった。

いや、違う。

多分ルリエが俺に乗っかってるからだ。

別にエロい意味じゃないぞ。

ちっちゃいとはいえ人が乗っかってるとやっぱり重いな。

なのでルリエを俺の上からどかす。

そしてルリエの頭を軽く撫でてから伸びをしてベッドから降りる。

朝食まで時間があるが、ルリエの代わりに宿の仕事でもしようか。

嫁を助けるのも夫の勤めだ。


そんな感じで暫く働いていると階段からパタパタと急いで降りてくる音が聞こえてきた。


「お母さん、遅れてごめんなさい。」

「大丈夫だよ。あんたの旦那が代わりにやってくれてるから。」

「だだだ、旦那って…まだ、そんな。でも、お呪いもあるし、結婚は決まってるようなものだし…」

「ルリエ。流石に階段で悶えるのは危ないんで、降りてからにしない?」


俺が掃除しながらそう声をかけると


「おおお、お兄さん!いつからそこに!?」

「いや、まあ、さっきだけど。それよりも早く降りてきて。危ないからさ。」

「う、うん。」


その後はルリエと一緒に宿の仕事をして、セフィア達が降りてきたら一緒に朝食を食べる。

朝食を終えたらギルドに向かう。

嫁(ルリエ)と一緒に仕事するのも良いんだけど、ちょっと約束があるからね。


ギルドにたどり着くと待ち合わせしていた相手がナンパされていた。

なのでとりあえずナンパ野郎を牽制する為にリィナさんやアベルさんの名前を出してみた。

すると蜘蛛の子を散らすように去っていった。

アレクシアさんが言っていたように黄昏の獅子って本当に有名なんだな。


「あの、ありがとね。しつこくってちょっと困ってたのよ。」


待ち合わせの主であるアカネがそう言ってきた。

彼女、昨日はセラさんやリィナさんと一緒に居たのだ。

積もる話もあるだろうという事でセラさん達のところに預けていた。

そして今日は彼女のお仕事についての話をする事になっており、セフィア達の意見も聞きたいなと思い、アカネを迎えに来たのだ。

宿に戻る時にアカネに俺の考えを聞いてもらった。


俺の考えは簡単に言うと家政婦さんだ。

オークキングの買取金とかでそれなりに稼げたのでそろそろ家でも借りたいなと思っていて、その家には俺の他にも住んでもらう予定だが俺は冒険者だし、家の管理が疎かになるかもしれないから管理する人が欲しいと思っている。

そんな事を説明していると宿に着いた。


宿の部屋に招き入れるとアカネが固まった。

なんだろう?

と思っているとすごい速さでこちらに詰め寄ってきた。


「ちょっ!あの子達誰よ!?というか同じ部屋ってことはあんたまさか!?」

「うん。みんな俺の嫁。というか女神様のお呪いがあるから彼女達は俺以外と結婚できないし。」

「はあ!?それってどういう意味よ?というか女神様ってどういう事!?」


なんかテンパってるが取り敢えず事情を説明する。

その際お呪いはセフィア達が望んだ事をちゃんと伝えておく。

というかルリエは俺のいない所だったし強制はしてないからね。


アカネが落ち着いてから、セフィア達にさっきアカネにも伝えた事をセフィア達にも説明すると三人から賛成を得られた。

というわけで不動産屋を訪ねて家を借りる。

三人の意見を取り入れて満足のいく家を借りる事ができた。お風呂が自慢だ。

お値段が月十万だが、まあ。なんとかなるだろう。

そしてアカネだが三日家政婦、二日冒険者、一日休みで雇う事になった。

家政婦は俺の望みで、冒険者がアカネの望みだがこれで良いのかねぇ?

アカネなら普通に冒険者でもやっていけると思うんだけど。

まあ、俺に不満はないから別にいいんどけど。


雇用契約も済んだし、家も借りれたけど掃除やらなんやらがあるとかで住めるのは三日後だそうだ。

それまでは今まで通りあの宿に住むが…その前に女将さんとか説得しないとな。


うっ!胃痛が。

やっぱりプロポーズの後にしよう。

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