第96話 興味津々ですね。的なお話

「知らない天井だ。」


朝眼を覚まして呟く。

いや、まあ、知らない天井なのは知ってるんだけどね。

首都に来て初めての宿なんだから。

でも、様式美というかテンプレというか……要するになんか言いたくなったから言った。

ちなみに部屋割りは俺とセフィア、アレクシアさんとエルナさん、リィナさん、セラさんが二人部屋でアベルさんが一人部屋だ。

だからまあ、夜致せたんだけど。


「しっかし、随分と柔らかいベッドだな。」


流石に高い宿なだけあってベッドが大きくて凄いふかふかで寝るのがとても気持ちいい。

やばい。

癖になりそう。

これは家を買うなり、借りるなりする時には高いベッドを買うべきだな。

でも、リリンやルリエには悪い気がするな。

二人がいない所でこんないい思いするなんて。


ーコンコン


そう考えているとドアがノックされた。

そしてそのままドアが開けられた。

え?なんで!?ひょっとして昨日鍵掛け忘れた?

ヤバイ。

ベッドが気持ちよくて昨日致したままつい寝てしまったようで全裸だ。

前に服を着なきゃと思っていたのにまた忘れてしまった。

そしてそのまま客人が部屋に入ってきてしまった。


「おはよう。今日首都を見て回ろうと思ってるんだけど、一緒…に……」

「…………………。」

「キャアッ!な、なんて格好してるのよ!」

「そんなこと言われても……というか、勝手に入ってきた方が悪いんだろ!」


そう。

突然押し掛けて来たのはアレクシアさんとエルナさんだ。

というか、エルナさんがめっちゃ見てんだけど。

顔を手で隠してんだけどベタな感じに指の間……じゃなくめっちゃ隙間あるんだけど。

普通は人差し指と中指の間とかなんだけどこの人は親指と人差し指の間で見てるから普通に丸見えなんだよ。


「あの、ちょっと外に出ててくれないかな?流石に恥ずかしいんで。」

「えっ、あ、うん。分かった。ほら行くよ。」

「……もうちょっと。」


いや、もうちょっとじゃねーよ。

あ、アレクシアさんに連れてかれた。

この人人見知りするけど異性には意外と興味津々なのか。


それからセフィアを起こして服を着てから外に出て二人と合流する。

なんか顔を合わし辛い。


「えっと…首都を見て回るんだっけ?」

「そ、そうそう。それで一緒に行かないかなと思って。ほら私達ってまだお互いの事あんまり知らないじゃない。だから後半に向けて仲良くなりたいなと思ってね。もちろん、デートしたいって言うなら遠慮するけど…どうかな?」

「俺はいいけど、セフィアはどう?」

「僕もいいよ。それにデートなら明日すれば良いし。」

「そうだな。そんじゃ今日はみんなで街を見て回ろう。」

「やっぱりあなた達ってそういう関係なのね。まあ、同じ部屋の時点でなんとなく気づいてたけど。」

「まあ、ね。結婚を前提に婚約者してます。」

「斬新なセリフね。結婚を前提に婚約者してるなんて。」

「あはは…。」


セフィアが愛想笑いしている。

でも頬が赤いし照れてるんだろうな。

俺の嫁はいつもかわいいぞ。ますます好きになるじゃないか。


そんな事を話しながら朝食を一緒に食べてから街に出る。

俺がアイテムボックス(ストレージ)持ちと知ってるからだろうか一杯買うぞーなんて言ってる。

別に良いんだけどね。でも荷物持ちに誘ったのかと邪推してしまう。

それでもやはり美少女エルフ、美少女魔族に美少女な嫁と一緒に街を歩くのは楽しい。

行く場所が雑貨屋や道具屋に薬屋に木工屋に行くのだとしても…だ。

午前中はとりあえず冒険者に必要な物を見て回りたいと言っている。やはり首都の方がカインよりも品揃えがいいからな。


そして今は木工屋に来ている。

魔法を使う際の媒体は幾つかあるが、その中でも杖が一番高性能だそうだ。

もちろん、他の媒体にもそれぞれ長所があるのだが魔法メインで戦うなら杖が一番なんだそうだ。

丁度いいので俺とセフィアの杖も見繕ってもらう。

普段は剣がメインの俺たちだが、それでもやはりあった方が良いだろう。

魔物の群れに気付かれないようにこっそりと近づいて一気に殲滅なんて使い方が出来るだろうし、誰か二人が足止めをして残り一人が魔法を溜めて放つ際に威力の底上げが出来るからな。


そんな訳で俺とセフィアは新しい武装を手に入れた。

アレクシアさんは新しい弓をエルナさんは新しい杖を手にホクホク顔をしている。

やっぱり新しい武器が嬉しいのはどの種族も一緒なのかな。


そして昼食を食べて午後の散策に戻る。

午後からは完全なオフとして露天やら服屋を回ることになった。


嫁と美少女とのショッピングだ。

沢山楽しむぞ〜。

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