第83話 新しいプレゼント的なお話
「さて、それではそろそろ戻りますか。」
「そうですね。一応目的の物は出来ましたし。あ、でも、この事はぜっっったい!内緒ですからね。」
「分かってますよ。あ、それとこちらも持って行ってください。」
そう言ってアリシアさんは四つの結晶と鍛治道具一式を渡してきた。というかでかいよ。
「先ずそちらの鍛治道具ですが、基本的な道具で初心者でも扱えるようにグレードを落としてあります。そして炉ですが、この魔石晶を動力源としてるのでこまめに魔力を補充して下さいね。満タンまで溜めておけば五時間は使えますから。それとこちらの四つの結晶は結界を作る魔道具で四方に設置することで防風と認識阻害と中の音を外に漏らさない効果があります。まだ、蓮斗さんは家を持っていませんから必然的に持ち運び出来るようにと思いまして。この辺はストレージ持ちの特権ですね。」
「こんないい物を…ありがとうございます。」
「どう致しまして。それでは外へ。セフィアさん達が待っているでしょうから。」
「はい。」
そうしてドアから出て…落ちた。
なんで出口が宙に浮いてるんだろう?お陰で足を挫いてしまった。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないです。足挫きました。」
「それは大変。今治しますね。」
そう言ってアリシアさんは俺の右側に来ると回復魔法で治療を開始した。
そうしているとセフィア達がやって来た。
「レント大丈夫!なんか大きな音がしたけ…ど…って、何してるの?」
「いや、その、あの場所から出たら落ちちゃって。それで足を挫いたから治してもらってるの。」
「それって大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。今治療も終わりましたし。」
「…良かった。」
「心配かけてごめん。セフィア、リリン、ルリエ。」
「本当ですよ。」
「すまん。」
◇
「それではそろそろ私たちは帰りますね。」
「え、あぁ、もうこんな時間か。すみません、時間をかけてしまって。」
そう。
鍛治に時間をかけてしまった結果、六時を回ってしまっていた。
「いえいえ、私が言い出した事ですから。」
「そうですよ。気にしないで下さいね。それに今日ここに来る為に仕事を明日の分まで終わらせて、服を選ぶのだって二時か…もがっ!」
「そ、それでは帰りますね。」
そう言ってアリシアさんは慌てて帰っていった。
……二時間?
まあ、いっか。
「それじゃ食堂に行こっか。」
「そうだね。僕もうお腹ペコペコだよ。」
「…ん。」
「あ、私も一緒に食べていいですか?」
「「「もちろん。」」」
そんなわけで三人を伴って食堂に向かう。
その食卓にてセフィア達が今日は何をしていたのかを聞いた。
午前は俺達の弁当を作る為に買い物とかしてたのはなんとなく分かってた。
そして午後は三人でウインドウショッピングをしたそうだ。
そこで四人お揃いの服やルリエの服を買ったそうだ。
お揃いの服はちょっと恥ずかしいが、ルリエの新しい服は見てみたい。
その事を伝えると赤面しながら、デートに連れていってくれた時に着ます。と言ってくれた。
その様子はとても可愛かったです。
そしてその楽しい空気はとある来訪者によって終わりを告げた。
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