第6話 初めてのギルド的なお話
ーー目の前に美少女がいる。
おかしい。
俺は昨日手紙を読んだあと普通に何もせず宿屋のベッドで寝たはずなんだ。
なのになんで目の前に全裸の美少女…というかセフィアがいるんだ?
取り敢えず今はこの場を離れなければと思い動こうとして気づく。右腕に何か柔らかい物が当たっていることに。
そして掴まれて身動きが取れないということに。
そして審判の時が来た。
セフィアの目がゆっくりと開いた。
「きっ…むぐっ!」
大声を出されそうになり咄嗟に空いていた左手で口を塞ぐ。
「お、お、落ち着け。今誰かに見られるとお互いまずい事になる。だから落ち着け。な。」
と俺が言うとこくこくと首を縦に振ってくれた。
「後、手離してくれる?」
と言うとセフィアは慌てて離れ…ベッドから落ちていった。
一人用だから狭いよね、やっぱ。
その後、寝ている間に変化を解いてしまっただけという事で特に何もなく朝食を食べた後、セフィアに透明化してもらい、昨日教わった通りに道を行きギルドに向かった。
ちなみにセフィアの朝食はまだまだある携帯食料だ。
モンスターをハントする有名なゲームに出てくるようなギルドに入ってみると、右側にはクエストボードのような物があり、左側は酒場。そして正面には受付カウンターがズラリと並んでいた。
朝の騒動で少し遅れたからか人が少なく特に並ぶ必要もなく美人な受付嬢に話し掛ける事ができた。
やっぱりおっさんよりも美人さんの方がいいよね。
「すみません。冒険者になりたいんですけど。」
「冒険者登録ですね。身分証を見せて下さい。」
「通行証でいいですか?」
「はい。問題ありません。」
そう言われて俺は通行証を差し出す。ちなみにこの通行証は1週間で失効となる。1週間は火、水、土、風、光、闇の曜日があり基本属性6つから来ており、5週で1月、12ヶ月計360日で一年だとアリシアさんに聞いた。そして更新或いは再発行は再び千リム必要だから早めにギルドに登録した方がいいと門番さんに教えてもらっている。
「カザミ・レントさんですね。ギルドカードを用意する間に冒険者ギルドについて説明しますね。」
一度奥に引っ込んで戻ってきてからそう言ってきた。こちらとしては渡りに船だったので「お願いします。」と返事をして説明を聞いた。
「まずは冒険者ランクについて説明します。冒険者ランクはFからE、D、C、B、A、S、SS、SSSとなります。ランクアップする場合はギルドにランクアップ申請をしてもらいます。その後まずはギルドで依頼の達成率や受けた依頼のランクを精査し、資格ありと判断した場合はこちらから依頼を手配しその依頼を達成する事でランクアップとなります。また、Bランクまでは試験を受けてもらい実力ありと判断した場合に昇格する事ができます。」
「次に冒険者の仕事について説明します。冒険者はあちらのクエストボードから依頼書を受付まで持ってきてもらうことで依頼を受ける事ができます。依頼にはそれぞれランクがあり、自身のランクより下は2つ上は1つまでの依頼を受ける事ができます。Bランクの場合だとD〜Aまでの依頼を受ける事ができます。そして仕事の種類ですが雑用、採集、護衛、討伐、納品が主な仕事となります。討伐依頼は指定部位を討伐証明として持ってきて頂くことで討伐達成となります。ですがもし依頼を達成できなかった場合は成功報酬の1割を違約金としてギルドに支払ってもらいます。この場合は全ての依頼に適応します。そして失敗回数が連続で3回続いた場合はランクを降格する事になるので注意して下さい。」
「最後にギルドの施設について説明します。冒険者ギルドには軽い飲食が出来る意見交換を目的とした酒場とクエストボード。冒険者の依頼を受理したり相談を受ける受付窓口。そして受付の左側では素材の買取を行っております。また、ギルドの裏手と地下には訓練所があります。地下は近接用で裏手のは遠距離用となっております。使いたい時は気軽に言ってくださいね。」
「以上で説明を終わりますが何か質問はありませんか?」
「いえ、ありません。」
意外と長い説明だったが、なんとか覚えることが出来た。この辺はゲームと似ていて助かったな。
「では、こちらがレントさんのギルドカードになります。記入ミスがないかご確認ください。」
そう言われて確認するが特に問題はなさそうだ。ランクは最低のFランクからだ。
「問題ありません。所でこれから依頼を受けたいんですが、何か初心者にオススメの依頼とかありますか?」
「そうですね。薬草採取とチャージラビット納品ですね。依頼は2つまで同時に受けれますがどうしますか?」
「じゃあ、2つともお願いします。」
「分かりました。チャージラビットは基本的に単独で行動するので落ち着いて行動すれば問題ないはずです。納品数は5羽です。」
「薬草は10本で1束として3束の納品となります。」
「分かりました。それではいってきます。」
「気をつけてくださいね。」
そうしてギルドをあとに……しなかった。
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