第10話労働の脚

踝をくるりとなぞって

呪いをかける

永遠の少女になりなさい

蛍光灯に照らした ぱんぱんの脛

真珠のような艶やかさが気味悪い

絨毯に投げ出した双子の道よ

わたしの中心からまっすぐ指さす方へのびてゆけ

いつかこの労働のふくらはぎに

愛情を注ぐ時間ができるかしら

可愛い小指が欠けてしまって

しゅるりしゅるり

肥厚した踵に爪をたてる

しゅるりしゅるり

踝の呪いは解けていく

蛍光灯は青白くって

わたしは完全に

少女ではないものになったんだなあ

爪先は浮かない

そればかりか

わたしの脛ったら圧すと沈んで目を閉じる

明日も仕事がんばりましょう

朝にはぱんぱん 引いていてね

手をかけてあげなかったわたしの脚は

ほとほと褪せて

それでも蛍光灯の下 輝く

夢の手前の夜よ

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