第41話 過去②

「そんな・・・」

大村はショックを受けたようだった。

当時の上山が、あまりにも今の自分と同じだったからだろうか。


再び4年前・・・


上山は夏の大会を終えると

部活に来なくなった。


いくつも病院を回ったり

ランニングをしている姿を見たという話はよく聞いていた。


しばらくするとそんな噂さえ聞かなくなっていた。


オレは上山にこのまま野球を辞めて欲しくなかった。

もしかすると上山の肩の異変に気付いてやれなかった

自分への罪の意識もあったのかもしれない・・・


オレは嫌がる上山を無理矢理連れ出した。

「上山・・・肩の具合はどうなんだ?」

「・・・」

「また部活来いよ。

 肩治るまで、代打とかならできるだろ?

 お前センス良いから、バッターとしても活躍できると思うし」

「・・・」

「少し投げれるようになったら、とりあえずファーストとか、

 野手で復帰すればいいだろ、なっ?」

結局、上山は一言も発しなかった。


それからも上山は部活には来なかった。

そして、段々、悪い噂を聞くようになった。

以前の上山からは考えられない言動を見聞きしたとか

他中学の不良連中とつるんでいるとか。

ケンカをしているのを見かけたとか。

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