第2話 僕と彼の出会い

僕が彼と初めて出会ったのは

高校の入学式の後、野球部のグラウンドでだった。


彼は友人と4人で見学に来ていた。

身長は175cmくらい、体格もしっかりしていて

いかにも凄そうな選手に見えた。


僕は中学時代のチームメイト、高坂くんと一緒に見学に来ていた。

高坂くんも凄く野球が上手くて

中学時代は3番、ファーストでレギュラーだった。


僕はというと中学3年間ずっと補欠。

公式戦には一度も出場したことがなかった。


僕は正直、高校で野球をやるかどうか迷っていた。

そんな僕を高坂くんは一緒に見学に行こうと誘ってくれた。

「高坂くん」

「なんだ?」

「なんで僕を誘ってくれたの?」

「なんでって・・・お前、野球やりたくないの?」

「そりゃあ、やりたいけど・・・僕、へたくそだし」

「バカ。そんなの関係ないだろ。やりたかったらやれば良いじゃん。

 お前、野球大好きだろ?」

「うん」

「だったらやろうぜ!」


高坂くんは僕がへたくそなのを全く邪険にしない。

中学時代は良いチームメイトに恵まれて

僕が練習の足を引っ張っても

みんな練習に付き合ってくれて、色々アドバイスをくれた。


僕も僕なりに一生懸命、練習はしたつもりだけど

結局、全然上手くなれていない。

僕には野球のセンスが無いのだ。

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