第2話 アストライア。⑤
「ボクが会社を創らなければいい。トリスタンが会社を創り、ボクは政府の者とのパイプを作る。この作戦のカギは政府と協力関係を結べるかだ」
「政府は敵ではないが味方でもない、中立を保つ存在。協力してくれるとは思えないが」
イーズが言った。
「政府も一枚岩ではない。強すぎる会社はいずれ手に負えなくなる。そうなる前に戦力を削っておきたいと考える者も中にはいる。この国戦でクロノスが勝てば勢力が拡大して政府でも手に負えなくなる。一昔前のクロノスCo.になるのは避けたい筈だ。可能性は十分ある」
「国戦に参加するほどの会社にするのは簡単じゃないんだけどな」
トリスタンが苦笑いを浮かべながら言った。
「僅か3年でCo.の幹部候補にまでなった、トリスタンなら不可能じゃないだろ。それに仲間もいる」
「わたし1人ではできないが、皆がいるならやり遂げることができるだろうね」
トリスタンは皆を見た。
「決まりだ。ボクはこれから政府のもとに行く、皆は会社を作りクロノスに認めてもらう。それとウーティスとクロノスの情報取集も頼む。ここからは別行動だ」
ボクはそう言い、その場を離れ政府のもとに向かった。
「早速はじめようか」
トリスタンが言う。
「そうだね」
「…」
「ウイース」
「オッケー」
皆が各々返事をした。
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