第27話 選択

 私はそれぞれの拡張機能のメリット、デメリットを検討してみることにする。


 まずは、ステータスアプリの拡張。


「項目追加で、7000いいね、か。これにしても、5000いいねは残る。レア確定ガチャなら50回。もしくは動画の撮影時間延長か。この項目、何が増えるか、なんだよなー。項目追加1ってことは、普通に考えて2以降もあるんだよね。」


 私はスマホのステータスアプリを開く。


 ◇ステータス◇

 《ネーム》 クウ

 《アプリ》 ステータス ガチャlv1 投稿lv2(写真 動画5秒) 簡易鑑定アプリ

 《加護》  投稿神の祝福

 《スキル》 着火 スワタニ語理解(片言) 駆け足 魔力物質化


「改めて見ると、だいぶスキルが増えたなー。さて、果たして、ステータスの何の項目だろう。ゲームだったらHPかSTR、もしくは経験値とかだけど……。何か違う気がするなー。ネーム、アプリ、加護、スキルときてるからゲームとは、全然違うものが来そう。ちょっと、これは今はやめとくか。余裕が出来たらでー」


 私は独り言を呟きながらステータスアプリを閉じる。


「次は投稿アプリの拡張か。これは、あれば嬉しい。どうも、すでに解放されている項目の強化っぽいし。安定感ある選択肢だ。写真が二枚送れるってのは、凄い魅力的。動画も、今回のエントオブノウレッジの件を見てもバズりやすそうだからなー。少しでも撮影時間、長い方が良いよね。五秒と六秒じゃあ、体感的にも、だいぶ違うよなー」


 投稿したエントオブノウレッジの動画を見ながら、そのいいねの数に、一人、にまにまする私。


「最後は、ガチャアプリ。新ガチャ解放。まあ、これが大本命だよね。新ガチャが、そこにあるのに選ばない訳はないよね。まあ、唯一の心配は、何いいねで回せるガチャなのか、だよなー。ここまで、1いいね、100いいねと来ているから。次は1万いいねでSレア確定か? もしくは限定系ってことも……」


 ガチャの魅力に完全に堕ちているのを自覚しつつ、それでも一応他の要素がないかも考えてみる。


「そういや、帰りに倒れていたリスティア=アレスターだっけ。何でゴミの山に埋もれていたんだろう。簡易鑑定の結果的に、いかにもリスティア=アレスターの血液を原料にして、エントの培養をしていた風だったけど……。何にしてもきな臭いよね。トラブルの予感しかない。そういう意味でもガチャで強力なユニットかスキルを……」


 結局ガチャを拡張する方向に考えが傾く私。

 誘惑に弱い自分自身への最後の抵抗として、ひとまず寝て、明日の朝まで決断を延ばすことにする。

 そうと決めると、昼間の疲れが出たのだろう、あっという間に寝てしまった。


 そして翌日の朝。

 私はドォアテアルの街に響き渡る警報の鐘の音で、目が覚めた。

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