第37話 〜父さん〜

 俺はいつも通り畑で仕事をしていたのですが、今日は普段と違う所があります。

 そう、お父さんが一緒に畑を耕してくれているのでした。

 ですが、息子に酒を飲むように指示してきたのをまだ根に持っています。

 今日起きてからずっと2日酔いが覚めないので、かなり疲れが出てきてしまうのでした。

 それを見た父さんが笑ってくるのが相当歯痒く、お前のせいだよ!!と言ってやりたいです。

 俺たちが畑仕事を終えると、俺はエルシーさんの元に向かおうとしたのですが、父さんに止められてしまいました。


「待て待てタルト、どこに行くつもりだ?」


「いや...エルシーさんに剣の稽古をつけて貰おうと思ったんだけど...」


 それを聞いた父さんは呆れた顔をして俺を見てきました。


「タルト...、なぜお前がそんな物を振り回さにゃいかんのだ...」


「えっ...、それはもしもの時の頼れるのは自分の力だけだと思ってるからかな...」


「そんな事をきいているのではない、なぜお前にはその立派な肉体があるのに、剣などに頼らねばいけないのかと聞いているんだ」


「肉体って...、俺に丸腰で戦えって言うのかよ!」


 俺は思わず父さんに向かって大声を上げてしまいました。

 やばいと思って手を口に置いたのですが、それを見た彼はふふんと笑っています。


「ふふん...、少なくとも、俺はお前に剣なんぞ教えたつもりはないのだがな」


(いやいや知らんし、俺は巧であってタルトじゃねぇからな!)


 だけどそんな事を実の父に言っても信じてもらえるはずありません。

 いや、父親だけでなく母さんやノーレに言っても信じてくれないでしょう。

 ここは忘れたふりが1番良さそうです。


「そうだっけ?」


「お前なぁ...、あれだけ教えてやった聖人の技を忘れるとは何事だ!、ええいもう一度教えてやるからこっちに来い!」


 俺は頭を掴まれながら父さんに森の方へと連れて行かれました。

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