バカだけど、愚かではないんだよ [190文字]

「キミはどうして私の隣に居たがるの」


「そんなの、わからないよ」



 恋って、そういうものだろう。

 坂道を転がるように、自分ではどうしようもできないもの。


 彼女の橙色の瞳を見た日から、いつだってその炎に魅入られたまま。



「クラスのみんなに、嫌われても知らないから」


「大丈夫、キミさえいれば生きていけるから」


「バカみたい」


「愚かでないだけ、マシだろう?」



 彼女は困ったように、口の端を、少し上げた。






お題:橙色・坂道・わからない

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