俺が最強!俺がルール!俺がジャスティス!! 〜世界を救うために封印を解いた大勇者がメチャクチャな変態野郎だった件〜
凡人
第1話 脱衣か、滅亡か。
「かつてこの地に平穏をもたらした勇者よ、今一度我らにその力をお貸しください...。」
アイリーンは祈った。
儀式が成功しなければこの国は破滅を迎えようとしている。長い歴史の中で、これほどまでに国が衰退してしまった事は過去に一度だけ。その際にこの国を救ったのは一人の勇者と、その勇者を召喚した一人の町娘だった。
「お願い...、お願い...!」
この儀式は召喚の儀ではない。大昔、勇者は町娘の手によって召喚されこの世界へと呼び出された。その後、国を救った後に、またこの国が滅亡の危機に晒された時のために封印されたと伝説には残っていた。このアイリーンという町娘はその伝説を元に、勇者の封印を解こうとしているのである。
「どうすればいいの...。伝説ではこの場所に封印されたと伝わっているのに!いつまで経っても何も起こらないわ!!」
勇者が封印されたと言われるこの崖の上で、アイリーンは途方に暮れていた。いくら祈っていても勇者の封印が解ける様子はなく、ただ時間だけが過ぎていく。
「雨だわ...。」
その絶望のアイリーンに追い打ちをかけるように、雨が降り出し、やがて嵐となった。
雷鳴が鳴り響き、暴風が吹き荒れ、儀式は絶望的な状況となった。
「伝説には具体的なやり方なんて一つも残されていない。もう無理よ...。」
アイリーンは途方にくれ、ついにその場に泣き崩れた。
全てを諦め絶望に屈したその時だった。
『....ぎなさい.....。』
「え!?」
嵐の轟音の中、確かにアイリーンの耳に声が届いた。
『は...く、...をぬ....い。』
嵐が弱まっていき徐々にその声は鮮明になる。
「この声は...!貴方が伝説の勇者なのね!お願い!私たちには貴方の力が必要なの。封印を時に来たわ。やり方を教えて!」
アイリーンは天に叫んだ。
『早く、服を脱ぎなさい。あと私は勇者ではなく大勇者だ。間違えるなよ』
「...ん?」
アイリーンは耳を疑った。
『何をボサッとしてる。封印を解くんだろ?泣いてるからわざわざ来てやったんだ、早く服を脱いで私に身体を晒したまえ。』
「ちょっ!ちょっと待ってよ!何でこんなところで服を脱がないといけないのよ!」
『何でって国を救って欲しいんだろ?だったら封印を解くにはそれしかないんだよ。特別に上半身だけでいいから、ほら早く』
「嫌よ!だいたい特別にって何!どう考えても今貴方が考えた都合のいいルールじゃない!」
『あっそうお前が呼んだから来てやったのに!それじゃあ俺は帰るから国は他の誰かに頼むんだな!』
再び嵐が強まり、その勢いは徐々に強くなる。
「待って!分かったわ。服を脱ぐから行かないで!」
嵐がピタリと収まる。
(この野郎...)
アイリーンは怒りを抑えながら服を脱ぎ始める。
『ほうほう、これはまあなかなか悪くない』
(もうこの国のことなんてどうでもいい気がしてきた)
「ほら、約束通り上半身は脱いだわよ!これでいいのね!」
『いいだろう!時は満ちた!再び封印を解き、この国を救ってみせよう』
あたりが眩しい光に包まれる。
アイリーンはその光に飲まれ、次第に意識を失っていったーーー。
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