第40話帰還の衝動

わたしは屋敷に帰らねばなりません、帝国の魔術研究員のわたしは帰ってモンスターの対策魔法を開発するのです、この城も住み心地は良いのですがやはり自分の白に帰るのです。

実はさっきここに囚われているのを思い出しましたからね、どうして分かったと思いますか、おやつにあんなに甘いお菓子が出る筈は無いですからね、だって何時もは酢昆布なんですから。ここに居るのがいくら良い人でもわたしは魔物の城には居る訳にはいかないのです。

おっと隣りの僧侶さんが騒ぎ出したのでチャンスです、みんなが相手をしている間に抜け出しましょう。

さあ魔法の言葉を唱えますほら目の前の景色がクラクラしてきましたよ、これが相転移の感じです。

ここは見覚えの有る廊下です、とにかく早く自分の部屋に入らないと、あれ鍵が合いませんこれは、これは罠ですよ。

部屋が違うですと?そんな筈ありませんよこの部屋でもう何年も住んで居るんですからね。

今この空間は敵の攻撃に晒されています、あそこのお婆さんは魔術師なのですが誰もいない壁に向かって話をしています、あそこのお爺さんは剣士ですがオヤツのプリンをさっきから突いて壊していますね、みんな虚構の王に捕われているのです。

私は世界を統べる者の力を持っているので騙されませんよ、トイレなんて幻影に過ぎません、治療師さんが手を引いてくれればトイレまでの迷路の廊下に徘徊する邪魔なモンスターは蹴散らしてみせますよ。

そうそう、今まで忘れていましたが姫君を守ると王と約束をしていたのです、あそこにいる老婆に身をやつした方が我が姫君なのです、勇者の私が守って城に帰還させなければいけないのです。

おや、あそこに見えるのは。

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