第2話 『G vs 人型決戦兵器』
ボクね
『G』がキライなんですよ。
『G』と言っても
ゴジラじゃないですよ。
ジャイアンツでもないです。
夏の一家団らんの最中に
突如あらわれて
平和な雰囲気を
かき乱していく
黒光りしている
あの
『G』
です!
なんでしょう、
あのコワさ。
あのスピード。
いい大人が
逃げまどいますからねー。
「Gは人の言葉がわかる」
というウワサを
聞いたことがありますが、
ホントかもしれません。
だって、絶対
こっちに飛んでくるんだもん。
「ぎゃーぎゃー」
言いながらスプレーしてると
こっちくるんだもん。
ホントいやだ。
家の裏に
空き家があってね、
どうやらそこが
ヤツらのアジトみたいなんです。
でもね、そんなGに
唯一対抗できる、
モノがウチにはあるんです。
それがね
『人型決戦兵器・父』
なんですっ!
人型決戦兵器・父はね、
ライフルも
ATフィールドも
持ってませんけどね
なんと、
素手でGを捕まえることが
できるんですよ!
Gをとらえて
ひねって
ドブの中に叩き込む
その姿に
「すごいぞっ! 父っ!」
と子供のころは感心したものです。
でも一度ね、
Gが
そんな父の手をすりぬけたことが
あったんですよ。
ビールで酔った
父の指のすき間を飛び出して
らせん階段でも登るように
ぐるぐると
勢いよく一気に腕をかけ上がって、
父の顔面に到達したのを目撃したときには
「ぎゃー」
と悲鳴をあげて
泣きべそかいてしまいました。
そして
「あの父が負けた…」
とガクゼンとしましたね。
それ以来、
Gが一段とコワくなりました。
夜遊びして明け方に帰ったときに
はだしでふんづけてしまったり。
夜中にノドがかわいて
枕もとにおいてあった
飲みかけの缶ジュースを
口に持って行ったところ、
中からガサガサと
Gが出てきたり。
かわいいはずの
飼いネコのちびが
すんごい目つきで
Gを喰ってたり。
もうなんなの。
ヤツら。
まるで悪魔のような
Gは
ボクの夏をかき乱すんです。
きっと
毎年Gとは
戦うことになるでしょう。
だって
人型決戦兵器・父は
夜の七時に寝ちゃうんだもん…。
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