第10話

私は今、幸せに浸っている。瑠宇が私が良いと言ってくれた。顔が緩むのが自分でも分かる。でも止められない。

「う、うふふふ」

そんな私に澪が

「どうしたのそんなだらしない顔して。それにそのネックレス」

制服の下に目立たないように着けて来たネックレスに気付かれ、昨日の事を話した。

「おめでとう。お似合いのふたりね」

祝福してくれる友人に照れながら

「ありがとう」

と感謝を返す。

 付き合い始めて最初の放課後

「瑠宇帰ろう」

「うん、祥子ねぇ」

「ね、もう付き合っているんだから呼び方変えて欲しいな」

「変えるって。祥子ねぇは祥子ねぇだし」

「だからね、これからは祥子って呼び捨てにして欲しい」

「え、でも」

「ね、お願い」

「しょ、祥子」

真っ赤になりながら小さな声で、でもしっかり祥子って呼んでくれた。

「はい。瑠宇」

 ふたりで一緒に並んで帰る。手を繋いで帰りたいな。言ったら繋いでくれるかな。そんな事を考えていたら目の前に瑠宇の手があった。顔を上げると耳まで赤くなった瑠宇が

「手」

同じ事を考えていたんだと嬉しい。その時から一緒にいるときには手を繋ぐようになった。

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