第五十五話 聖戦舞祭:長戦と化す、二人の聖なる優者(レッツ・ランブル)2

「受けなさい!<✖ースラッシュ鞭撃(べんげき)>--!!」

シュウウウウーーーー!!


「面白いですね!<紅斬広切(こうざんこうせつ)>--!」

ゴバーーー!!


中距離から有栖川さんに向かって梨奈が鞭をX字のように重ね合わせるように振るったら、そんな<武器限定>の現神術を発動し、X字の形みたいな波動が生じ有栖川さんに襲い掛かったが、それを<紅斬広切>という有栖川流が入ったオリジナル現神術で迎え撃ち、両方が相殺され消滅させられたのである。


「相変わらず賢いアレンジで現神術を自分好みに作ってきたわね、それ」

「ふふふ.....当然ですよ。私を誰だと思ってるんですかー?」

「もうー。少しだけ褒めてやれば、そんなに調子に乗るだなんてーやっぱり根っこはお嬢様っ子だわ、有栖川って。」


「そうでしょうかー?んー?こほこほー!~くっー!」

何か言いかけてたら、いきなり咳き込んでいる有栖川さん。苦しそうな表情をして、痛みを堪えるような目をしているようだ。


「どうやら。さっきのあたしから受けた連続の<赤色中燃炎球(ダリスターズ)>が効いてきたようわね。最初の<束縛繋緑色爆弐連出(シシメニオス)>に加えて。」


「.....そのよう...ですね。くっー。確かに...今の私が何回も貴女からの攻撃を受けてきて疲弊の色が強くなりつつありますが、貴女だってー」

「んー?くわあぁーー!へんぐぐううぅぅぅーー!痛いー!」


そう言い返した有栖川さんだが、突然につらそうな呻き声で胸のところに右手で押さえつけた。梨奈ーー!!


「くーつ!はあ......はあ.......いだー!」

「紅滅の形、弐をその身で受けて無傷であるはずがありませんよ。会長の<リンガ>が起動中でしたから大怪我とか心臓を貫かれたりはしないものの、実際にはあれが神滅鬼との戦闘に備えての私が編み出した必殺技の一つですよ。本来、これを受けてあの世逝きとなっても不思議じゃありませんもの。」


「有栖川さん.....よくもやってくれましたわよねー。うちの森川さんに」

仲間のつらそうな顔を見てほっとしておけないのか、耐え難い表情で観戦しているエレンが隣にいる。

「でもでもー!まだ戦いが進行中のままだよー!?さっきので大ダメージを与えることに失敗して劣勢になってたり押され気味してきたとはいえ、まだ梨奈ちゃんが押し返すってわたしが信じてるよー!だって、直々に彼女と試合してたわたしがいうんだもんー!梨奈ちゃんの実力はあんな程度ってわけじゃないもんー!」


エレンの憂慮にそう安心させようと励ますネフィールなのだけど、

「慌てるな!二人ともー!今はじっとして、静かに戦闘の最後まで見守っていこうー!これがせめてもの、戦っている梨奈への敬意と配慮を示すのに十分だ。いいなー!」


「分かりましたわ「はい~!」」

俺の宥めによって、二人は微妙な顔して口も閉ざし、我慢してるように観戦を続けていくのである。


「では、私も次に貴女を楽にして上げますね。この試合を終わらせてやりますね。んー?くはーー!」

と、何故か急に激痛に耐え兼ねるような表情で、膝立ちとなっている有栖川さん。そう。梨奈の攻撃もー


「3回もあたしからの現神術を喰らったからあなっちゃうのは当然だわ、有栖川。でも.....さっきのあれは驚いたわね。まさか連続攻撃として放った2回目の<赤色中燃炎球(ダリスターズ)>を受けても刀を手放しながら上へと跳びあがる余裕と力があるだなんて.....普通はあんな爆発を受けて身体が押さえつけられ自由に動けなかったはずなのに.......」


「それは.....はあ....はあ....私がーこほこほー!森川さんが鞭を私の<紅蓮禍刀(グレンカトウ)>に巻き付いてきた途端に、またも現神術でも発動してくるものかと一瞬の間ながらも予想できましたから、発動するまでのタイムラグに<赤色中燃炎球(ダリスターズ)>から逃れるのには咄嗟に刀を放しながら、.....こほー!燃え盛ろうとした炎が現れるより先に早く私が.....うぐぅげほー!...ローザさんに教わり習得してきた<二秒敵撃無効果(ノラシア)>という現神術を使うしかありませんでした」


「......<二秒敵撃無効果(ノラシア)>...なのー?何それー?はぐぅぅ....げほげほー!」

「それは....こほこほー!くっ......。補助系の現神術で、発動すれば....こほー!2秒だけ現神術からの影響を一切よせつけない 効果を持っているんですよ。ロアンヌはまだマスター出来なかったから跳躍する...しかないんですが...ノラシアのお陰でそれで跳びあがる余裕が出来て、上へと跳躍する際に炎がもの凄い勢いで私の全身をその猛炎で舐め尽くそうと迫ったけれど、2秒だけ無影響で炎の範囲外に到達しそうなところの上空にいた時に、少しだけ貴女の<赤色中燃炎球(ダリスターズ)>に焼かれるんでしたよ。」


ほう。あれがあったからか......。それで疑問が解決したな。道理でダリスターズがあの刹那の時に発動中も飛び上がれるんだ。2秒だけなんにも感じなかったからなぁ....。


「<エニラム>ーー!」

いきなりそう叫んだ有栖川さん。って、確かに前にフェルリーナと戦った時に彼女もそれらしき現神術を発動したんだっけー?効果は確か....術者の身体が受けた全ての傷に対する痛みを感じなくするものなんだったっけー?精神的な痛みか物理的なものかどうかにもかかわらず。



「では、これで終わりにしましょうー!ふう...有栖川流。高速乱舞の刀遊。一型。」


「なーー!」

「「「--!??」」」


俺ら第4学女鬼殺隊はまたも驚愕に染める表情を浮かべざるを得なくなる。

それもそのはず.....


壮絶な紅色の神使力を纏う有栖川さんは独楽のように全速力で回転しながら、梨奈に猛スピードで向かっていくからだ。


直観だけど、あれは絶対に喰らってはならん技だとーー!俺が本能的に感じる!


「梨奈ーーーー!!!」

そう叫ばざるを得ないほど、梨奈が今、雌雄を決する瞬間に直面しようとするから。



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