第三十九話 聖戦舞祭:エレン対ローザ、開幕。
「では、両者、戦いの前に、30秒だけ準備をさせてやるぞ。」
そう知らせてくれたローズバーグ会長は舞台に上がっていったばかりのエレンやローザさんに視線を向けたまま、シリアスな表情を保つままだ。(まあ、会長はいつも生真面目な性格なんで、常にあんな表情のままだったけど....。)
「殿下、またも殿下と手合わせできて、嬉しく存じております。どうか、この2年の間のワタシが習得しておりました成長、ご覧になっては如何でございましょうか?」
「あら~?またもその堅苦しい喋り方でわたくしと話す癖が抜けないままですのー?いつものことなんですけれど、いかんせんどうにかならないんですのー?」
「どうにもなりませんよ、殿下。いくら気心の知れた、大切な幼馴染同士であるからといって、ワタシ達には臣下と王族という立場がございます故、公衆の場ではこんな話し方だけをするのはもっとも適切で合理的なのでございます。どうか、ご理解いただけたらと。」
「.......まあ、いいですわよ。でも、5歳からの長い付き合いなんですから、少しはプライベートな場でもっとフランクになって下さると、嬉しく思いますわ。確かに、昔ですと、子供でしたのでお互いの立場が身にしみてる今よりも、友達感覚で一緒に遊んだり、呼び捨てにし合ったり、なんでも話せるような中でしたけれど、3,4年前から今に至るまでに、貴女の言動や話し方もどんどんと他人行儀になってきて、少し悲しく思いますのよ?ですから、わたくしがこの試合に勝ったら、王城内にいるか、及び官僚たちが一緒の場合のみ、わたくしに対して丁寧な口調になってもらいますの。この提案、従ってもらいますわ。」
「........殿下からのご命令とあらば、従わざるを得ませんね。では、お言葉に甘えさせて頂きます故、どうかワタシの実力をご覧になって下さいますね。」
「よろしいですわ。では、会長ー?わたくし達の準備は既に終わりましたので、開始してもいいでしょうかー?」
「いい。では、カウントダウンするぞ。10まで数えたら、試合開始だ!1-!」
場面は俺達の観戦してる場所である「待合室」へ:
「.....ね、ルーくん、さっきのって、一体なんだったのかしらー?」
「......俺、俺もよくわかってないや。あれほどの堅苦しい会話、初めて聞いたしな.......。」
「.......それにしても、少し硬すぎとは思わないの?幼馴染同士だったって聞いたでしょー?なのに.....。」
「にしー!あの二人はいつもあんな感じなので、今の内に慣れておいたがいいと思うよー?」
俺と梨奈の呟きに対して、得意顔でそう反応してきたのは他の誰でもなく、「悪戯好き少女」ことネフイールなのである。
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