10話 愛してるゲーム
「愛してるゲームやらない?」
「いいよ〜、やろうやろうっ」
布団を敷き終えて寝る準備を整えたところで、手軽にできる遊びの提案をしてみた。
私たちは布団に腰を下ろし、顔を見合わせる。
交互に『愛してる』と言い合って笑ったり照れたら負け。特殊ルールなしのオーソドックスな方法で行う。
じゃんけんで順番を決めた結果、萌恵ちゃんが先攻になった。
面と向かい合っている状態とはいえ、普段から言葉と体で存分に愛を語らっている関係だ。
まず間違いなく、長期戦になるだろう。
「真菜、愛してるよ」
「〜〜〜〜〜〜っっ!」
ふひぁあぁあぁあぁあぁあぁあああぁあっ!
うううっ、嬉しいっ、嬉しすぎるよぉおおおぉぉおおおおぉぉっっ!
私は感極まって布団に倒れ、ゴロゴロと転げ回った。
毎日のように聞いている言葉でも、嬉しいものは嬉しい。
「さ、さすが萌恵ちゃん、手強いね。まさかこんなに早く決着するなんて思ってなかったよ」
「う、うん、あたしも思ってなかった」
ハァハァと息を荒げながら座り直す私に、萌恵ちゃんが驚き混じりの苦笑を浮かべる。
次は私が先攻だ。
初戦からいきなり完全敗北を喫してしまったけど、次はどうにか堪えてみせる。
「萌恵ちゃん、愛してる。大好きだよ」
私は心を込めて言葉を紡いだ。
それを受けた萌恵ちゃんはパァッと笑顔の花を咲かせ――
「あたしも大好き〜! 真菜〜っ、これからもずっと一緒にいようね!」
勢いよく私に抱き着いて頬ずりを何度も繰り返し、ちゅっ、ちゅっ、と頬や唇にキスの雨を降らせてくれた。
熱烈な愛情表現を真正面から受け止めつつ、私も熱い抱擁とキスをもって萌恵ちゃんの気持ちに応える。
当初の想定とはまったく異なる結果になったけど、二人とも心から満足することができた。
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