27話 ビーチでのんびり①
朝早くに萌恵ちゃんと一緒に家を出て、以前水族館へ行ったときの待ち合わせ場所である駅前に向かう。
今日は再びのWデート。バスと電車を乗り継いで、最寄りの海水浴場へ行く予定だ。
お盆過ぎということで遊泳はできないけど、人が少ないから気兼ねなくのんびりできる。
「萌恵ちゃんの水着姿を想像するだけで鼻血が出そうなんだけど、大丈夫かな?」
「んふふっ、大丈夫だよ~。いつも裸見てるんだし」
「も、萌恵ちゃんっ!? たた、確かに夏休みに入ってから若干羽目を外してるというか、それなりの頻度で甘い夜を過ごしてるけど、いいい、いくら周りに誰もいないからって、そっ、そんな大胆なことを……っ!」
まさか萌恵ちゃんの口からえっちな話題が出るとは思わず、盛大に取り乱してしまう。
ロータリーのベンチに座ったまま辺りを見回して、通行人がいないことを確認しておく。
「ふぇっ!? ちっ、違うよ! あ、あたし、そういう意味で言ったわけじゃ……お風呂入るときに裸見てるよねってことだから!」
「あっ、そ、そうだったんだ、ごめん、すごい勘違いしちゃった」
「ううん、あたしの方こそごめん。ちょっと言葉が足らなかったかも」
お互いに謝り合って、困ったように苦笑する。
早い時間だから気温はまだ低いのに、二人とも炎天下で運動した後のように顔が赤い。
「お盆過ぎの海って、なんで入っちゃダメなんだっけ?」
「クラゲや離岸流が発生しやすくなるから、だったかな」
うろ覚えの知識を引っ張り出し、萌恵ちゃんの疑問に答える。
「なるほど~。ちょっと残念な気もするけど、砂浜で遊ぶだけでも楽しいよね!」
「うんっ、きっと楽しいよ。それに、遊泳はダメでも水に触ったりするぐらいだったら大丈夫だと思う」
もちろん油断は禁物だけど、波打ち際で水遊びするぐらいなら危険性はないはずだ。
と、話しているうちに駅の方から美咲ちゃんと芽衣ちゃんが現れる。
「お待たせしました」
「待たせたわね」
みんなそろったところで、コンビニに寄って飲み物と軽食を購入して電車を待つ。
ホームでの会話の中で、全員が服の下に水着を着ていることが発覚した。
泳ぐのが目的じゃなくても、海に行くことを思って逸る気持ちは変わらないらしい。
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